2000年以降、ITの急速な発展により、様々な分野、場所でITが導入されています。
現在では、小学校の必修項目にプログラミング勉強が取り入れられるほどにITは身近なものとなりましたが、人材不足が問題となっています。
急速なIT革命に追いつけず、IT関係の職業でも、特にエンジニアの不足が挙げられます。
企業は、積極的にIT導入を進めたいのに、エンジニアを雇うことが出来ないため、企業改革が行えず困っているのです。
今回は、エンジニア不足の理由と人材不足の解消方法について解説していきます。
ITエンジニアが79万人不足ってほんと?
2019年に経済産業省「IT人材需給に関する調査」という報告書を公開しました。
報告書によれば、IT需要の構造変化によるITに関する人材が不足していることを紹介し、この先の人材不足を解決するためには、AIの活用と最先端の技術に対応していくことができる人材の発掘・育成が必要であると記載しています。
また、IT人材不足数にも触れていて、2018年は22万人、2019年は26万人、2020年は30万人となっており、2030年には最大で79万人の人材不足になることを予測しています。
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なぜITエンジニア不足になるの?
ITエンジニアの不足には、ビジネス環境の変化や労働環境などが理由に挙げられます。
具体的に理由を説明していきます。
デジタルトランスフォーメーションの推進
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、変形や変質を意味する言葉です。
デジタル技術を活用して、企業が製品・サービス・ビジネスモデル・組織改革・企業改変等を行うことを指します。
企業がDXを導入することで、業務の効率化・生産性の向上、市場需要の変化に対応したビジネス拡大などのメリットを得られます。
そのため、多くの企業が競合に打ち勝つために積極的になり、IT需要が拡大し、エンジニア不足に繋がっています。
労働環境が厳しい
一般的なイメージにも浸透していますが、エンジニアは「きつい」「帰れない」「厳しい」という過酷な労働環境を強いられています。
具体的な例として、
・成果物に対して、品質保証を求められた上で、経費を大幅に削られてしまう。
・本来のスケジュールがタイトであるにも関わらず、さらにタイトにされる。
・作業人数は変わらないまま、短い工期で大量の業務量をこなさなければならないため、
拘束時間が長くなる。
このような労働環境の為、せっかくエンジニアを雇用しても退職してしまうこともあります。経験豊富なエンジニアを雇いたくても、劣悪な労働環境で応募が来ないため、悪循環に陥ります。
キャリアアップが難しい
エンジニアの一般的なキャリアアップの流れは、プログラマーから始まり、システムエンジニア→プロジェクトリーダー→プロジェクトマネージャーとなっていきます。
プログラマーで基礎と知識を培い、システムエンジニアでシステムやソフトウェアの設計を行います。こういった技術を十分に積んだうえで、管理職のプロジェクトリーダー・プロジェクトマネージャーにキャリアアップします。
しかし、労働環境の悪さや勤続年数の短いまま、離職してしまうためキャリアアップ出来ません。そのため、管理職にキャリアアップしたプロジェクトリーダー・マネージャーも人材不足のため、プログラミングを行わなければならないという状況になっています。
IT技術の革新
2000年以降の急速なIT革命により、IT技術は飛躍的に進化しました。日々、進化していく技術に追いつくことが出来ずに、挫折していくエンジニアも存在します。
エンジニアには、次々と生まれていく新技術を獲得するために、日々モチベーションを高く保ち勉強をしていくことが求められます。
しかし、どれだけ努力しても給料は上がらず、労働環境は悪くなる一方の為、モチベーションは当然低下してしまうのです。
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ITエンジニア不足の解消方法は外国人活用
経済産業省が後悔した資料からも分かる通りエンジニアの人材不足は、今後もついて回る問題です。2030年には、79万人に到達してしまうことが予測されているため、関係各所は対応を急いでいます。
これを解決する方法が、「外国人エンジニアの活用」です。2012年に「高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度」が導入されたことで、優秀なスキルや実績を持った外国人労働者の積極採用が行えるようになりました。
IT事業は、国内外に問わず、大きな市場の為、外国人エンジニアの高い技術力はとても重宝されます。語学の壁はありますが、技術力の需要が高いため積極的に採用されます。
外国人エンジニア活用法①:オフショア開発(メリット・デメリット)
外国人エンジニアを雇うと言っても、日本に来てもらい、出社してもらうという方法は、ほとんど使われません。今最も行われている外国人エンジニアの活用方法は、「オフショア開発」です。
「オフショア開発」とは、賃金が安い海外の企業や子会社にシステム開発の一部業務を委託することを指します。賃金が安いため、開発コストを大幅に削減できることから積極的に取り入れられている手法です。
■オフショア開発メリット
オフショア開発のメリットは、日本のエンジニアと同レベルの外国人エンジニアを雇っても人件費が半分近くまで抑えることが出来る点と、自社のエンジニア不足を補うことが出来る点が挙げられます。
また、人件費が安いために案件ごとの契約ではなく、仕事量(作業量)に応じた契約を行えるため契約期間内は自社のエンジニアと同じように仕事を依頼することが出来ます。
さらに海外の企業と繋がることで会社のグローバル化に繋がるとともに社内にはない、外国人特有の柔軟な発想やアイデアを得られ、社内の活性化に繋がるでしょう。
外国人エンジニア(とくにベトナム・フィリピン・インドネシア・タイなど)の多くは、日本で働いてみたいと思っており、モチベーションがとても高いため、プロジェクトチームに組み込んだ場合のプロジェクトチーム全体のモチベーションアップにつながる点も挙げられます。たくさんの外国人エンジニアが日本企業でのエンジニア採用を待っています。
■オフショア開発デメリット
オフショア開発はメリットがとても多いですが、気を付けなければならないこともあります。デメリットとして最初に挙げられるのが、物理的な距離による成果物の品質や進捗の管理をすることが難しいことです。
報告では、進捗状況に問題がないようでも、実際に確認すると品質に問題があるといったケースも多く、トラブルになる場合があります。
また、日本では納品に間に合わない場合、残業を行ったりすることもあると思いますが、海外では、国によって業務時間決まっており、日本の常識が通用しません。
そのため、納期の遅れに繋がることもあります。
コスト面でも考慮したいのが、小規模案件の場合、人件費を抑えても報酬が低いためコスト削減に繋がりません。オフショア開発を検討する場合には、必ず費用を試算してコストがかかり過ぎないようにしましょう。
海外エンジニアを活用するためには、言語の壁を乗り越える必要もあります。
基本的には、英語を主軸としてコミュニケーションを取りますが、委託する国によっては、英語が通じないことも考えられます。また、英語が通じても日本の独特なニュアンスが上手く伝わらずに、思っていたのとは違う成果物が納品されることもあります。
外国人エンジニア活用法②:自社PM育成
外国人活用のもう一つが、自社内のプロジェクトマネージャー育成に繋がることです。
プロジェクトマネージャーは、管理職であり、プロジェクトを円滑に行う上で、管理や改善を行い、成功に導く役職です。
プロジェクトマネージャーに必要なスキルは、エンジニアとしての技術は当然のこと、プロジェクト全体を見て、進捗状況の把握をし、問題があれば対応策を考えて実行します。
プロジェクトマネージャーとしての役割は幅広く、日本では、プロジェクトマネージャー育成に思うような成果が挙げられていないのが現状です。
外国人エンジニアを雇うことで、人材不足が緩和されるため、プロジェクトマネージャー育成に時間と労力を割くことが可能になります。
また、外国人エンジニアと業務を共にし、コミュニケーションを取ることで、新しい技術や気づきを与えることが出来、プロジェクトマネージャーとして必要不可欠な幅広い知識と経験を得ることが出来ます。
外国人エンジニア活用:今後の課題は?
外国人エンジニアの活用が加速している現代で、特に気を付ける必要があるのが、「賃金」についてです。日本におけるエンジニアに支払われる賃金は、業務の専門性のわりに低く設定されています。そのため、日本のエンジニア賃金の感覚で外国人エンジニアを募集しても有能な人材が集まらない可能性があります。人件費削減にこだわり過ぎず、作業内容に見合った賃金を支払うことで、優秀な人材の長期確保に繋げましょう。
そして、日本の労働環境に合わせることが出来ない外国人エンジニアに合った労働条件を提示することで、積極的に仕事をこなしてもらえるように考慮しましょう。
外国人なので言語面の問題も考えておきましょう。可能な限りコミュニケーションが取れるように対応した言語を習得している人材を用意しておくことで、外国人エンジニアの離職率を下げることが出来ます。
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まとめ
以上、ITエンジニアの人材不足の理由と外国人エンジニアの活用方法について解説しました。今後も慢性的なエンジニア不足が考えられるため、積極的にオフショア開発や外国人労働者の活用を行っていきましょう。
また、日本と海外の文化の違いを理解することで、日本にはない素晴らしい業務効率化の方法が見つかるかもしれません。
自社の労働環境改善のヒントになることもあるでしょう。
外国人エンジニアを活用する際のメリット・デメリットをしっかりと抑えてから行動しましょう。
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