「この人なら会社を任せることが出来る」と思える社員はいるでしょうか。
会社を長く存続させていくことを目指していく上で、事業や社員を引っ張っていく「リーダー」の存在はとても重要になります。現在のリーダーが、10年先の会社にいられるとは限りません。いつ引退してもいいように、会社を任せることが出来る次世代のリーダーを選定・育成していかなければなりません。
今回は、次世代リーダーを育成する際に気を付けるべきことを紹介していきます。
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次世代リーダーの育成は難しい?
次世代リーダーとは、企業の次世代を担う経営幹部や将来の経営者候補のことを指します。
現代のITの急速な発達、積極的な海外進出、新型コロナウイルス感染症の影響による人材不足など企業を取り巻く環境は次々に変わっていきます。この変化に柔軟に素早く対応できる資質も次世代のリーダーには求められます。
しかし、実際に次世代リーダーを育成する現リーダーは、思い描くリーダーとして育成することの難しさを痛感しています。なぜ難しいのか理由を見ていきましょう。
経営戦略の中で優先度が低い
次世代リーダーとして身に付けなければならないのは、リーダーシップはもちろん、マネジメントや経営知識と幅広く・多くあります。そのため育成にはとても時間と手間がかかってしまうため、事業を優先してしまったりと育成を後回しにしがちになってしまうことがあります。
育成体制
次世代リーダー育成を行うには、本来の業務に支障をきたさないことを前提に、育成カリキュラムや育成チームの編成など環境を整えておかなければなりません。
しかし、経営資源に限りのある企業では、この育成体制の構築が難しいことがあります。
育成の効果
次世代リーダーが活躍するのは、現リーダーが引退した後になります。
そのため、育成が完了しても知識を披露する環境がありません。いざ実践できる環境が用意できても時間がたちすぎてしまうとせっかく学んだことを忘れてしまう恐れもあります。
このように育成効果の検証を行うことが難しく、効果そのものを実感できないことが次世代リーダー育成の問題点になります。
次世代リーダー育成手順
次世代リーダーの育成で大切なのは、長期的な目線で計画を立てることです。次世代リーダーの育成は数年単位で行うものなので、すぐに育成効果は表れません。
育成全体の流れを確認していきましょう。
①ゴール(目標)の設定
次世代リーダーの育成には、時間がかかるので「次世代リーダーを育てる目的」を明確にし、理由とゴールを定めることで、意思統一を行います。
②条件・要件の明確化
次世代のリーダーが、会社にとってどんな人材になってほしいのかを条件・要件として明確化します。
③候補者の選抜
次世代リーダーに求める条件・要件を明確にしたら、育成候補者を選抜します。
選抜段階での評価だけではなく、意欲や基礎能力、将来的なポテンシャルを考慮して選抜します。
④育成計画の設計
候補者が決まったら、実際にどのように育成を行うのか計画を立てます。
候補者の強みや弱み見極めてから計画を立てましょう。
⑤役割・期待の伝達
次世代リーダー候補者が厳しい環境下でも意欲的に学び続けるには、動機付けと期待を明確に伝達します。
⑥育成トレーニング実施
④で立てた計画を実施します。長期に及ぶ計画なので、根気強く推進していきましょう。
⑦モニタリング
始めに設定したゴールに近づいているのかを継続的にモニタリングしていきます。
振り返りと、本人が負担になり過ぎていないかを多方面から観察します。
⑧改善策の検討
モニタリングを行って、問題や課題が発生した場合は改善策を検討し、育成計画の見直しや候補者への動機づけを行います。
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次世代のリーダーに必要な要素3点
次世代リーダーを育成することを決めたら、初めにすることは、次世代のリーダー候補の選定です。候補者を決める基準は、「テクニカルスキル」「マネジメントスキル」「マインド」の3つの要素を重視します。リーダーとして最低限備えておかなければいけない能力のため、この3つをしっかりと押さえましょう。
①テクニカルスキル
テクニカルスキルは、経営者が業務を遂行していくために必要な知識や技術の総称のことです。数多くあるビジネススキルの中でもテクニカルスキルは業務遂行に特化したスキルになります。
アメリカの経営学者ロバート・カッツが提唱したスキルの1つ(他には、ヒューマンスキル・コンセプチュアルスキル)で、経営者だけでなく、一般の社員にも必要とされるスキルでもあります。
テクニカルスキルには、
商品知識:自社の商品(サービス)に対する深い知識のことで、商品のコンセプトや特性、競合他社との違いなどを説明できるスキル
情報収集力:市場を理解するために必要で、適切な情報を素早く収集するスキル
分析力:収集した情報が信頼に値するものか判断し、適切な情報から読み取り、分析するスキル
企画提案力:顧客に対する自社製品の企画提案力や社内における新商品開発などに対する企画提案力といったスキル
専門知識・技術:特定の分野に対する専門性の高い知識・技術。エンジニアにとっては、自分が専門知識・技術に該当
文章作成能力:プレゼン資料や仕様書等の文章を分かりやすく説明をする能力
これ以外にも様々なスキルがあり、総じて業務において目標を達成するための能力です。
②マネジメントスキル
経営者として素晴らしい目標があったとしても、それを実現する戦略や社員に伝えることが出来なければ意味を成しません。
マネジメントスキルは、経営資源である「ヒト」「モノ」「カネ」「時間」などを効率的に管理し、最大限の利益を上げていくための能力です。
マネジメントスキルの代表的なスキルは、
・戦略・課題を正確に把握し、最適な目標設定をするスキル
・定めた目標に向かって組織・チームの進捗を管理するスキル
・社員の能力や性格を的確に把握するアセスメントスキル
・社員が自ら考えて行動することが出来るように導くコーチングスキル
といったものがあります。
リーダーは、具体的な戦略膣案を行い、業務進捗状況の把握と全体の課題を把握し、改善案を出し続けることで組織を成功に導いていかなければなりません。
③マインド
マインドとは、リーダーの能力・スキルとともに必要とされる人格や価値観のことを指します。組織のマインドセットには、「製品・事業特性」「戦略・ビジョン・理念」「経験」に分けられます。
組織のマインドセット
『製品・事業特性』
企業が取り扱っている製品やサービスによってマインドセットが形成されます。
自社の製品に対して、顧客が信用や安心という印象を持ってもらえるように、宣伝・営業(接客)を調整います。サービスを取扱っている場合には、企業全体のイメージを具現化し、アピールしていきます。
『戦略・ビジョン・理念』
商品ではなく、戦略・ビジョンを優先していく場合は、「何を売りたいか」ではなく、「誰に」「なぜ」売りたいのか。ということに焦点を当てます。経営理念もマインドセットに大きく関係し、従業員全体に浸透させていくことが求められます。
『経験』
企業の核となるマインドセットは、経験次第で変わることがあります。会社は、事業を行っていく上で様々な経験を蓄積し、戦略の変更があるとマインドセットも切り替わっていきます。大事なことは、失敗の経験をそのまま継続せずに舵を切りなおすことです。
次世代のリーダーをどう育成するか?大切なポイント3点
次世代リーダー育成はただ闇雲に行っても成果は出ません。ポイントをしっかりと踏まえて、最大限の成果を上げましょう。
①育成の目的を明確化
次世代リーダーを育成には、会社の理解が必要になります。人事や経営陣と次世代リーダーに求めるものをすり合わせ、社員にも周知します。
育成の取り組みの必要性やゴール(目標)を設定し、明確化することが重要です。
次世代リーダー育成には、想像以上に多くの人を巻き込むため、候補者に対しても期待値を明らかにし、モチベーションの向上・維持に尽力しましょう。
②後継者選定
次世代リーダー育成の準備段階に候補者を決めますが、選抜時には必ず次世代リーダーとしての定義(求める人材)を明確にしましょう。例えば「優秀だから」のようなシンプルな理由では、潜在的な能力が見えず、正しい判断ができません。
候補者選定の際は、求める次世代リーダーの能力を明確にし、様々な角度・視点から公平に決めていきましょう。1つの例として、少しずつ人数を絞っていって最終的に候補者を数人に絞るという手法もあります。
③ストレッチアサインメント
ストレッチアサインメントは、次世代リーダーとしての能力をいち早く身に着けさせる手法のことで、現時点での能力では達成が困難であるレベルの業務に就かせることで能力を引き上げるというやり方です。
よく行われるのは、多部門を含むプロジェクトや新規事業の立ち上げ、規模の大きなマネジメントです。こんな状況を克服することで、問題解決に伴う広い視野の獲得と経験・自信を獲得できます。
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まとめ
今回は、次世代リーダー育成のためのポイント、次世代リーダーに必要な要素について紹介しました。経営者や経営陣がリーダーを任せたいと思っている候補者がいても、候補者本人が迷いや不安を抱えている状態では、育成は進みません。
まずは、候補者の不安や悩みに耳を傾け、解消してから次世代リーダー育成に自信を持って踏み出せるように導いてあげましょう。
次世代リーダーには、能力や知識だけなく人格や品格も大切であり、多方面の育成が必要になります。次世代リーダーとして、活躍するためには5年∼10年と長い年月で育成していきます。候補者の選別、育成計画の作成、育成の目的(目標)を明確にしていきましょう。
自社での次世代リーダー育成が難しい場合、オンラインセミナーや講習会の開催も多数行われているので、検討してみてください。
企業に必要な人材となるために最適な研修を選び、受講しましょう。
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