秋永 裕介 氏 | 株式会社カオピーズ
北九州工業高等専門学校卒業後、北九州のクレジットカード会社でシステムエンジニアとして8年間在籍。2008年に福岡県内のベンチャー企業へ転職し、2012年より同社のベトナム拠点へ移り、現地でオフショアPMを務める。その後、ハノイで会社立ち上げ、オフショア拠点でのプロジェクトマネジメントを経験し、2021年5月より株式会社カオピーズでPMOを担当。今年でベトナムのハノイは9年目。
はじめに、現在のお仕事について教えてください!
今はPMやBSEのサポートをしていて、日本人のお客様と弊社のメンバーとの意思疎通の橋渡しが一つの役割です。他にも基本設計書の作成などの上流工程をサポートや、社内のPM、BSE、コミュニケーターの日本語教育も任されていて、自ら教材を作って授業をしています。ベトナム拠点では、250名のベトナム人と私1人(常駐されている日本人のお客様がもう1人)となっています。
自ら手を挙げ、活気溢れるベトナムへ
エンジニアになろうと思ったキッカケを教えてください!
私は高専を卒業していまして、当時は進学を考えていたのですが親の意向もあって就職を決意し、地元の北九州でクレジットカード会社のシステム課に入社したのがキッカケです。その会社では8年間社内の基幹システムの開発に従事していました。
これは余談ですが、当時頼りになる先輩に「お金と時間さえあれば、システムとしてできないことは何一つない」と言われたのが印象的でして。お客様から難しいことを言われても、時間を頂いて調査して、どうすれば出来るのかを伝えることが大事だと教わったので、現在もベトナム人エンジニアには「システムとしてできないことはない」と当時の先輩のように教えています。
ベトナムを選ばれた理由を伺いたいです!
2008年に先ほど触れた地元のクレジットカードの会社から転職する際に、海外に興味があったので、当時オフショア開発が盛んだった大連(中国)の企業を受けたんですが、英語ができなかったので通らず、地元福岡のベンチャー企業に入りました。2012年にその企業でベトナムのオフショアをするから誰か現地で調整してくれないかと言われまして、手を挙げたのがベトナムに行くキッカケとなりました。
海外で働くことには元々興味があったのでしょうか?
サラリーマン金太郎という漫画をご存知でしょうか?(笑)作中に出てきた「今後100年で色んな国の国境はなくなるだろう」という言葉が私の中で響いてですね。そこから海外で働いてみたいと思うようになりました。
秋永さんはベトナムでのご経験が長いですが、改めてベトナムの魅力をどうお考えでしょうか?
40年以上前にベトナムで起こったベトナム戦争の影響もあって、ベトナムには若い人が非常に多く、国民の平均年齢は約27歳です。なので、日本からこちらに来て働いていて思ったのは、みんな活気があって、ワイワイ仕事をやっていて驚きました。
スキルなど足りない部分はありますが、ハングリー精神・向上心が凄い部分も仕事をする上では魅力だと思います。分からないことがあれば、時間をください明日までに調べますと言って、翌日には調査結果をしっかり出してくるといった負けん気の強さを感じています。
相手を理解した上で、妥協点と改善点を考える
海外でのエンジニアマネジメントについて、苦労や失敗談を伺いたいです!
ベトナムに来た当初、やり方も状況も全く分からなかったので、まずPMに毎日作業進捗を報告してほしいとお願いしたんです。そうしたら、初日からいきなり「いま遅れが出ていて、オンスケではないのでリスケをしてほしいです。時間なので私たちは帰ります。」との報告を受けました。もうツッコミどころが多すぎて、どこからツッコんだら良いか分からなかったですよ。(笑)
この時は通訳も新卒で日本語は拙くITの知識がゼロだったのでPMと意思疎通ができず、日本からは早く進めてくれと言われ、ベトナム人からはそのスケジュールでは出来ませんと言われ、どうしたら良いか分からず私はホテルに帰って滅入っていました。その時が一番辛くて大変でしたね。
海外でのエンジニアマネジメントで大切にしているマインドセットを教えてください!
海外に限った話ではないですが、一番大切なのは相手を理解することだと思います。相手の文化、性格、態度、スキル、考え方を理解した上で、それをどこまで妥協出来て、出来ない部分はどうしたら改善できるのかを考えることですね。また、その相手に合ったポジションなのか、私から彼ら彼女らに何を与えられるのかを考えていく必要があると思います。
日本人の方々と飲みに行くと、彼らがベトナム人は使えないと愚痴をこぼすことがあるのですが、私はベトナム人が使えないのではなく使いきれていないのではと思ってしまいます。例えば、こうしたらお客様が喜んで自分も嬉しい気持ちになるからやってみようと伝えることで、相手の考え方を変えることも大事だと思います。
海外のエンジニアマネジメントで印象に残っているエピソードを教えてください!
一つのことを始めるととことんやってくれる人が多いので、要求してくれたこと以上の仕事をしてくれた時にはとても嬉しいです。
あとは先ほども申し上げたようにベトナム人は活気がありますから、仕事や飲み会で若い気持ちになってはしゃいでしまいますね。(笑)弊社には5月に入社したのですが、もう既に10回以上飲み会をしていて、彼らとの親睦を深めるのも大事だと思っています。
マネジメントはお客様の立場に立つことが基本
マネジメントはどう学ばれたのでしょうか?
何か学習ツールや教材から学んだ覚えはないですね、全て実地で学びました。ベトナムに来てマネージャーに成り立ての頃はとにかく時間がなく、勉強する時間の余裕も心の余裕もありませんでした。
一つ印象に残っているのは、当時私が忙しくしていた時にベトナム人のコミュニケーターが大丈夫ですか?と声をかけてくれて、相談に乗ってくれたことがありました。彼に仕事を教えてマネジメントを少し手伝ってもらった時に、仕事の負担がすごく軽減されたので、こういうことが人を上手く使うことかと感じた瞬間でしたね。
現在は部下の方々にマネジメントをどのように教えていますか?
基本的に「お客様の立場に立つこと」から教えるようにしています。お客様が喜ぶことをやる、ただそのためには自分だけでは手が足りないから、昔マネージャーにされて嬉しかったこと、嫌だったことを考えてメンバーとも接していけば上手くいくよねというのが基本です。その基本がある上で、出来なかったことの反省と振り返りもしっかりしています。
最後に
今後の展望について教えてください!
皆から信頼されて、皆がしっかり仕事をできるようにしていきたいと思います。課題としては、日本のお客様と仕事をすることが多いので、コミュニケーターや通訳者が鍵になると思っています。ここさえ教育すれば、どんな案件でも上手くいくというのが私の考えです。なので、PMやBrSEの教育・ヒューマンマネジメントを弊社では取り組んでいます。
海外に活躍の場を広げたい企業・エンジニアに一言お願いします!
日本の文化、日本の常識、会社の常識を理由もなく押し付けることはしない方が良い。それを押し付けてうまくいっていない会社がたくさんあります。もしも押し付けるのであれば、理由を説明して相手が納得してもらうことが重要です。
そして色んな仕事に共通することですが、お金を払っているのだからちゃんとやれ、という態度ではうまくいかないです。自分が仕事を受ける立場だったら、そういうお客様は嫌だと思いますからね。目線を合わせてきちんと対応することが大事だと思います。
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