(前編)エンジニア的思考を持った起業・仕組みづくりの重要性【MOON-X株式会社 塩谷将史 氏】

日本ではエンジニア出身の起業家が少ないですが、アメリカではApple創業者のスティーブ・ウォズニアック、Microsoft創業者のビル・ゲイツ、Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグを始め、エンジニアが起業するケースが多いです。

技術面を外注する場合、費用やコミュニケーションの制約があるため、なかなかアイデアを完璧に実現できないという難しさがあるでしょう。何か新しいサービスを作る時に、アイデアを実現する技術を持っていればそれだけでも大きな強みになります。

また、起業家ではなくても何か仕組みを作っていく時やエンジニアをマネジメントしていく時にも、やはり技術的な知識やエンジニア的な思考を持っていなければ、コミュニケーションがうまくいかないことも多くあるでしょう。

エンジニア

今回は元楽天でシンガポール支社立ち上げに携わり、現在はMOON-X株式会社のCTOとCTO養成講座のOCTOPASSのメンターを務める塩谷さんから、前編では日本のエンジニアの課題感、後編では日本での外国人エンジニアのマネジメントと海外での外国人エンジニアのマネジメントの違いや海外でのゼロイチ経験を持った状態での起業についてなどのお話を伺いました。

塩谷将史 氏 | MOON-X株式会社、OCTOPASS
大学卒業後、Full Stack Engineerとして6年間様々なシステム、ネットサービスの開発に従事。
2008年に楽天に入社し、主に楽天の広告プラットフォームやAd Tech・Big Data系システムをプロデュースし、約50名規模の開発組織をマネジメント。
2012年シンガポール支社立ち上げに参画し、3年間でシンガポール・日本・インドの3拠点で約100名の多国籍・多拠点エンジニア組織を0から立ち上げ。グローバル広告プラットフォームの企画、開発、導入も指揮。
楽天退職後、2016年に株式会社アペルザを共同創業し取締役CTOに就任。製造業に特化したサーチエンジン、マーケットプレイス、クラウドサービスなどを立ち上げる。2019年7月にアペルザを退任。
2019年8月にD2Cのマルチブランドを展開するMOON-X株式会社を共同創業。消費者向けブランドをテクノロジードリブンで立ち上げ中。
本業のかたわら、インターノウス株式会社が主催するCTO養成講座OCTOPASSをメンター/エバンジェリストとして支援。また、大小様々な企業のプロダクト開発・開発組織マネジメントアドバイザも務める。

新卒でエンジニアに、その後楽天でシンガポール支社立ち上げに携わる

オフショア開発

エンジニアになったきっかけを教えてください!

初めてインターネットに触ったのは1995年頃、私が高校生の時でした。当時はまだGoogleやYahooが出始めで、かなり早い段階からインターネットには触れていたと思います。大学でも情報系の授業が多く、また当時としては珍しく学部生がパソコンを使える環境でもあり、自然と仕事でもインターネットに関わる仕事がしたいと考えるようになりました。エンジニアとしての実力を早く身につけるため、大手SIerや外資系ではなく小さい会社に入社しました。

そこから楽天に入社された経緯を教えてください!

新卒入社した後に2社転職をして、お客様のシステム開発を担っていました。当時はブログやSNSが流行し始めた時期でして、それらを開発するベンチャー企業に3年ほどいましたね。フルスタックエンジニアとして、開発だけではなくマネジメントも担当していました。その後、大きい会社で大きい仕事がしたいなと思うようになり、当時積極採用をしていた楽天に入社しました。

楽天ではシンガポール支社の立ち上げにも携わられたのですよね?

最初の4年半は日本、後半3年はシンガポールに移りました。入社時は楽天創業から10年が経ち、積極的に海外進出・海外からの新卒採用を始めた時期で、社内公用語が英語になったのもこの時期でした。私自身も上司がノルウェー人で部下には海外採用された外国人エンジニアが多数という環境にありました。また、当時は日本人社員を積極的に海外支社に出して、逆に海外から外国人を日本に入れるというシャッフルもよくありました。そんな会社のグローバル化の流れの中でシンガポール支社立ち上げに参画することになりました。

日本のエンジニアの課題と展望

エンジニア

日本のエンジニアの課題感について教えてください!

ほとんどの方は日本の中だけで仕事をすることが普通だと思っていると思いますが、それではもったいない、損をする、と思っています。エンジニアはどこの国に行っても仕事はできますし、日本の中に閉じこもって仕事をしていることは大きな成長機会を見逃していることになると思います。

ぜひ海外に出て、海外のエンジニアの成果に対するコミットメントの高さ、自分の技術力を高めるためにどのくらい努力をしているか、英語ができるだけでどれだけ多くの情報をキャッチアップしていけるか、などを肌で感じてみてほしいです。

日本だけで仕事をすることも可能ですけど、キャリアの可能性を狭めていると思いますし、日本経済全体でもったいないことが起きているとも考えています。例えば中国や韓国の人達はどんどん海外に出て、自分を成長させて、帰ってきたら自国に還元している人が多い。日本もそうなっていったら良いなと思いますね。

また、シリコンバレーや中国のスタートアップではコンピューターサイエンスを学んだ上で起業している人が多いと思いますが、逆に日本のスタートアップはエンジニアではない人が起業することが比較的多いように思います。日本でもエンジニア的思考ができる人がエンジニアやCTOという枠組みを超えて、起業や新しい仕組みづくりをやっていってほしいなと思います。

インタビュー後編「シンガポールでは『フェアでオープンな環境』を作れ」

いかがでしたか?塩谷さんのインタビューは後編へと続きます。是非ご一読ください。

後編では、日本での外国人エンジニアのマネジメントと海外での外国人エンジニアのマネジメントの違いや海外でのゼロイチ経験を持った状態での起業についてなどのお話を伺います。

(後編)シンガポールでは「フェアでオープンな環境」を作れ【MOON-X株式会社・OCTOPASS 塩谷将史 氏】

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