鎌倉 洋平 氏 | CXRエンジニアリング株式会社
外為オンライン、サイバーエージェント、bitbankを経て独立。エンジニアとして、外国為替証拠金取引所、及び仮想通貨取引所の製作を手がける。主にサーバー周りを得意とする。その後はFXトレードフィナンシャル、バイナリーオプションアプリケーション製作、海外暗号通貨取引所プラットフォームの製作を手がけた後、当社を加藤と発起。
2019年7月より TradingView Japan の System Development Director に就任。
はじめに、現在のお仕事について教えてください!
現在、私はCXRエンジニアリングでCTOをしております。弊社はファイナンス寄りのフィンテック企業として、暗号資産取引所の開発・運用をメインに取り組んでおります。また、弊社はメディア事業にも力を入れており、YouTubeチャンネル「CXR投資チャンネル」は登録者数1万人までもう少しです。(2021年12月現在)
IT未経験のバーテンダーからITエンジニア、そして現在はCTOに
エンジニアになろうと思ったきっかけを教えてください!
実は大学卒業してからはバーテンダーをやっていました。個人的な事情もあり転職を考えていた時、当時お店の記事を載せていた「ぐるなび」や「ホットペッパー」などのwebサービスが、裏側でどのように動いているのかに興味があったのでIT業界に行こうと決めました。
プログラミングは独学で学ばれたのでしょうか?
未経験を募集していたエンジニア派遣会社で、1ヶ月学ばせてもらいました。あとは大学の研究室でFlashを用いた教材を作った時にActionScriptを学んだり、親に子どもの写真を見せるためにwebサイトを作ってみたりと独学で学ぶことが多かったですね。昔からものづくりが好きだったので、学んだことが仕事に繋がったり、誰かに喜んでもらえたりするのがモチベーションに繋がりましたね。
海外のエンジニアとはどのように関わられているのでしょうか?
弊社は海外にアプリ開発を依頼することもありますので、中国やベトナムなどのエンジニアと一緒に仕事しています。また私個人も会社を持っていまして、以前アプリ開発でイスラエルの企業とバングラデシュのブリッジSEを介してプロジェクトを進めていたこともありました。あまり国籍は問わず、ご縁があった方々と一緒に取り組んでおります。
大事なのは「共通認識を作ること」でもどのように合わせていくのか?
海外のエンジニアをマネジメントする際に大切だと思うことを教えてください!
共通認識を作ることが一番大切だと思います。育った環境や生活している環境が違いますから、言葉や技術的なことも含めて互いの認識を揃えることをまずはしています。特に開発で言えば、私たちには何ができて先方は何ができるのかをお互い理解し、スケジュール感などの進行上必要な要素も揃えないといけませんね。
そこが違うと会話が噛み合わなかったり、思っていたのと違うアウトプットが出てきたりします。共通認識が揃った上でコミュニケーションを取ることができれば、お互いが気持ち良く仕事できるようになるので、最も大切だと思います。
共通認識はどのように合わせていくのでしょうか?
認識を合わせたら、それをお互いが見える場所に置いておくことが大事だと思います。例えば、最初にプロジェクトで使う用語集を作って、プロジェクトを進めていく中でも用語を追加しています。他にも、打ち合わせは前回の振り返りと次に何をやるかまで認識を合わせることで、前後の繋がりが見えて取り組みやすくなります。
マネジメントをする際に、言語の違いで苦労したことはありますか?
エンジニア同士であれば、ソースコードを見ながら日常会話レベルの英語でコミュニケーションはとれます。ただ英語の通じない方だとブリッジSEに依存してしまって、そのブリッジSEが分からない複雑な技術のことは伝えるのには苦労しました。
大きい企業であれば業務を細分化しているケースが多く、ブリッジSEも通訳はできるがエンジニアのことは全然分からない場合もありました。例えば、中国の方と仕事をしていた時は、日本語と中国語で通訳できるブリッジSEに頼りすぎて、そのブリッジSEが理解できないことはエンジニアに伝えられず、全然違うアウトプットが出てきたこともありましたね。
海外の方と仕事をする上で、文化の違いを感じることがありますか?
文化の違いは感じますが、楽しんだ経験の方が圧倒的に多いように思います。例えば、中国に出張した時は会議中でも美味しい果物が並んでいて常にお茶を入れてくれる環境で楽しかったですし、ベトナムに行った時もベトナム料理をご馳走してくれたりしてその文化で楽しませてもらいました。(笑)
宗教の違いで苦労されたことはありましたか?
中国の方々は2月に旧正月があるので半月〜1ヶ月ぐらいいなくなりますし、イスラム圏の方々は食べられないもの・飲めないものがあったり、ラマダン(断食月)の時期に稼働率が下がったりします。ですが、それをあらかじめ理解していれば特に問題になることはないと思います。
海外の方と仕事をする上で、価値観の違いによる苦労をしたことはありますか?
そこまで苦労した経験はないですけど一つ言えるとしたら、日本人と比べると海外の方は大雑把な印象があります。例えば、コードのテストをお願いした時に70%ぐらいで提出してきて、それを指摘してもまたその70%しか直っていなくて指摘してというやり取りを何度も繰り返し、最終的に100%に近づけていくということはありましたね。技術レベルの違いもありますが、感覚も違うのだろうなと思っていました。
いつも通りの感覚でやっていたら工数が伸びてしまった経験は多いので、やはり先方がどういう方でどういう仕事をしてくれるのかを早い段階で理解しないといけないと思います。
他にも感覚が違うなと思った場面はありましたか?
文章でやり取りする中で、文章の7割ぐらいしか伝わっていないなと思うことはよくありましたね。これ日本人でもあることですが、明らかな書き漏れがあってもその仕様書通りに作ってしまい、書かれていないことは全くやらないことが多いです。
なので、特に海外の方には丸投げをせず、何をどういう手順でやってほしいのかを明確な文章で渡して、もし指示に漏れがあればこちらの責任にしてその都度改善をしています。
リモートマネジメントでも文化を理解し合うことが大事
現地に行ってマネジメントをされることもあるのでしょうか?
今はオンラインでマネジメントしています。以前、中国に行って向こうのマネージャーと共通認識を揃えたこともありましたが、今はリモートでコミュニケーションをとることが多いですね。
オンラインでコミュニケーションを取る際、実際に会ったことのない方へのマネジメントに何か工夫されている点はありますか?
やはり、直接会わないと心を開いてもらうのは難しいですね。(笑)アイスブレイクとして、技術的な話や文化の違い(食や祝日など)を話して、お互いの文化を理解することは大事にしています。
向こうと距離を近づけるために大切なことは何だと思いますか?
行くか、来てもらうか、ですね。(笑)中国に行ったこともありますが、中国の方に日本へ来てもらってご馳走したり観光地案内したこともありましたね。やはり一度でも会って話すことは大事だと思います。
最後に
今後の展望を伺いたいです!
CXRエンジニアリングは50人ほどメンバーがいまして、半数以上が自分の会社を持っています。また、オフショアで数人〜数十人抱えている会社を持っている人もいるので、将来的には他社で言う「部署」をそれぞれが持っている「会社」で担えたらなと思っています。
また、弊社は積極的に海外の会社にお願いをしているというよりはご縁があったんです。他にも以前勤めていたベトナム人メンバーがコロナでベトナムに帰国した後、友人とオフショアを受ける会社を作ったと聞いたので、そちらと協業することもできるかもしれません。そういったご縁も大切にしていきたいなと思います。
今後、海外で活躍したいと考えている企業やエンジニアをメッセージをお願いします!
海外に興味がある人はぜひ挑戦して欲しいなと思います。ただ、「何を作るか」は日本であろうが海外であろうが変わらないので、芯を一本持って良いものづくりをしてもらえたらと思います。
日本国内は1億2千万人が限界の市場ですが、海外向けにサービスをリリース出来れば何十億人にリーチできるので、機会があればチャレンジしたいと思っています。
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