多国籍な人々と協業するには「タフになる」こと【株式会社ショップエアライン(BEENOS Inc.) 小松清二郎氏】

近年、日本では外国籍のエンジニアの採用も増え、オフショア開発などで海外のエンジニアを活用する企業が増えており、多国籍な人々と働くことが当たり前になってきています。IT人材白書2020によると、DX推進に取り組むIT企業の22%はIT人材不足を、新卒採用、中途採用の次に外国人採用で補っているため、今後も外国籍のエンジニアは増加していくものと考えられます。

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関連資料:
IT人材の獲得・確保とDXの取り組み(出典:IPA IT人材白書2020

しかし、日本と海外では考え方が異なる部分も多く、言語の壁や文化の壁を感じることもあるでしょう。また、一言に外国人と言っても、フィリピン、ベトナム、インドなどその国や地域によって様々な価値観を持つ人がいます。そういった背景もあり、今後は多国籍のメンバーと協働し、成果を生み出すことが求められます。

今回は様々な海外経験を持ち、現在は株式会社ショップエアラインのシステムグループマネージャーを務める小松さんから、豊かなバックグラウンドをもつ人々と協業する際のポイントや今後海外進出していく企業に向けてのメッセージをお送りします。

小松 清二郎 氏 | 株式会社ショップエアライン(BEENOS Inc.)
大学卒業後、SIerに入社。1年半勤務し、海外に出るためSAP系の会社に転職。オフショア開発側としてインドに渡る。
その後、青年海外協力隊にてシステム系の仕事に従事しフィジー、スーダンなどで有償ボランティアを経験。免許証の発行システム、官公庁のWebサイト管理を行う。
帰国後、新規事業での提案や開発などに携わり、リクルートライフスタイルへ転職。Webディレクション、分析業務、広告との調整業務に従事。
現在、株式会社ショップエアラインのシステムグループマネージャーを務める。海外メンバーやリモートワークのメンバーなども所属する総勢4チーム20名で数億円のコストカットを実現。

アイデアを自分で実現したい。インドでSAPエンジニアに

エンジニア

エンジニアになろうと思ったきっかけは何でしたか?

手に職を付ければ自分がやりたいことを自分で実現できると思いエンジニアになりました。このように思ったきっかけは、学生時代に文系の大学に通いながらホテルでアルバイトをしていた時にあります。そのホテルは最終的には潰れてしまいましたが、それまで何とかしたいという思いで業務効率化などのアイデアを発信していました。結局アルバイトから出たアイデアは採用されなかったのですが、その時に自分は課題解決のためのアイデアが出てくる方だと実感しました。今後のキャリアを考えるうえで、自分で思い描くものを実現しやすいポジションにいたほうがいいかなと思いエンジニアを目指し始めました。

続いて、インドのオフショア開発に携わろうと思った経緯を教えてください。

学生時代にインド留学を経験したことがきっかけです。当時はアメリカに行きたかったのですが選考に通らず、どこにも行かないよりはどこかに行ってみようという思いで、枠が空いていたインド留学を決意しました。当時の経験は自分の頭がガンガン揺さぶられるような感覚を持つほど、視点が180度変わる経験でした。留学は3ヶ月でしたが、ITエンジニアとしてインドへ来たら面白いと思ったんです。最初の会社は決まっていたので、ひとまず日本で就職。その後インドで現地の賃金でも大丈夫ですというスタンスで職を探し、運良くSAPエンジニアとして雇ってもらったんです。

オフショア開発のメンバーとしてインドでエンジニアをされていたんですよね。
ここは大変だった!というご経験は何でしょうか?

インドのエンジニアから日本の要件が高すぎると思われていたことです。日本のSAPエンジニアを使うと高いから、インドのエンジニアを安く使おうとしますが、運用保守が上手く行っていませんでした。例えば、CRMのモジュールに顧客のリストがあって、名前を変える会社がありました。そこで、名前を変えたらSAPのシステムに影響するのか、するとしたらどういうものなのかという質問をしたら「名称が変わります」という答えが帰ってきたこともあります(笑)

「名前を変える」という依頼なわけですから、名前(名称)は変わりますよね(笑)

コミュニケーション

続いて、青年海外協力隊としてのお仕事について教えて下さい。

フィジーでは官公庁のウェブサイトの運用保守をしていました。そこでドロップダウンを作ったらとても喜ばれ、そのおかげでキリバスに出張に行くことができました。

国連ではどのようなお仕事をしていましたか?

国連では1年半、免許証発行の仕事をしていました。エンジニアは私1人だったんですが、パレスチナ人の上司に加えて、北米やアラブなどの様々な人と働けたことがいい経験になりましたね。ただ給料がなかなか振り込まれなくて、自分で必死にアピールしてやっと振り込まれたこともありました。

海外で様々ご経験されてきた中で、国籍が異なる人々とのコミュニケーションは何を意識されていましたか?

詰まっているところがあれば相談されて、解決するといった形でコミュニケーションをとっていました。色んな人と挨拶して仲良くしていかないと出世できない環境である反面、文句を言わないとなめられてしまいます。例えば、部屋に来て200ドル貸してくれと言われ、貸したら2,3ヶ月返って来なかったことがありました。「上司に相談する」と伝えた後にアジア系のアフリカ出身の友達づてに200ドルを奪い返せたんですが、なめられるとお金を貸してくれと色んな人から言われますね。日本ならお人好しで通用しますが、そのような環境ではタフになる必要があると思います。

ビジネス

帰国してからリクルートで働こうと思ったきっかけを教えてください。

それまでプログラミングをしていましたが、キャリアアップを考えた際にプログラミングを全くしないウェブディレクターのお話を頂いたため、やってみようと思いました。自分がいなくても回るような組織で、100あるものを101にする、自分の役割をやったとしても「CVが3-4%あがったところで」という感覚がありました。その後リクルートとは契約が終わり、その後のキャリアについてはウェブディレクターとエンジニアで迷いました。

ウェブティレクターとエンジニア、どちらもやりたいと思ったのはなぜでしょうか?

自分の実現したいことを形にしたかったので、どちらもやるという選択は自然に生まれました。サービスにコミットするエンジニアがいたほうがいいと思っています。しかし、決済できるようなサービスを自分でつくって「ウェブティレクターとエンジニアどちらもやりたい」と面接で言ったら落とされたこともありました。

突然エンジニアが12人中10人退職し…

オフショア

あるプロジェクトのマネージャーをされていた際、エンジニアが突然12人中10人退職。そこから25人ものチームを作るにあたり、どのようにして社内を巻き込んでいったのでしょうか?

半年は12人で運用をしていたところから1人でやらなければいけなくなり、それが人生の中で一番難しいタスクでしたね。geechsからスキルが高い人を呼びましたが、そのエンジニアに「これはできない」と言われてしまい、それがきっかけでgeechsから与信が取れなくなってしまいました。その時に「スキルが何十年もある人が来ても無理なんだ」と思いましたし、その1ヶ月後にウェブサイトが落ちたり運用保守も切れたりと大変でした。

その後、Leveragesから2人来たんですが、その人も付いて来れず契約が切れてしまいました。その後未経験者2人に参画してもらい、馴染みのあるSIerからもう1人。なかなか集められずにindeedなどに応募したところ、30人くらい来まして、日本語は話せなかったのですが、問題はありませんでした。

メンバーが増える中でのマネジメントの変化はどのようなものでしたか?

10人超えたら2番手3番手の人に任せ、3つのチームを作りました。外国人チームは社歴の長いフィリピンの女性に任せました。

海外のメンバーの強みは何でしょうか?

募集したらたくさん応募が来るところです。しかし、応募してきてもスキルが担保されているわけではありません。その際にはテストを作って応募者のスキルを測ります。日本人はなかなかおらず、やっと雇えても全く実務経験がなかったりしました。

海外の人材をマネジメントする上で特に気をつけていることはありますか?

未経験も採用していました。未経験者は何でも自分基準なので大変ではありません。フロントエンドしかやらないと言っていても必要だからお願いして、何もわからない人が入ってきたら柔軟に従ってくれるのでそれはそれでやりやすいです。

最後に、海外に活躍の場を広げていきたい企業にむけてメッセージをお願いします!

タフにならないといけないと思います。

日本人は交渉が苦手ですが、馴れ合いにならないようにすべきだと思います。日本人は高くても払ってしまう。何も言わなかったらなめられるという感覚があったほうが良いと思います。

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