リモートセンシングの技術で新しい社会を創るーー株式会社スカイマティクス、社内の実態に迫る。【株式会社スカイマティクス 倉本 泰隆 氏】

倉本 泰隆 氏 | 株式会社スカイマティクス

東海大学大学院工学研究科卒業後、2006年日立製作所入社。人工衛星の地上局開発プロジェクトに参画して、衛星の挙動を解析するシミュレータの設計、製造に従事。その後、商用衛星画像販売ビジネスの事業拡大などを経験した後に、2016年11月CTOとして当社に参画し、2018年6月より取締役CTOとして技術部門を管掌。

はじめに、現在のお仕事について教えてください!

弊社はスカイマティクスと申しまして、リモートセンシングという技術で新しい社会を創るというビジョンを掲げたベンチャー企業です。ドローン、360度カメラ、人工衛星、スマートフォンなどのデバイスの開発・販売と、お客様に合わせたサービスを提供しています。また、当社が独自開発した画像解析システムやAIだけでなく、その解析結果を地図上に見せて管理できるようにする地理空間情報システムの両方を兼ね備えたサービスを提供しているところに我々は唯一性を持っています。

大学院時代から研究を始めたリモートセンシングにより、多国籍チームを束ねながら現在も会社と共に日々進化する。

IT

倉本さんのこれまでのキャリアについてお聞かせください!

私は大学院のころから人工衛星の画像解析の研究をしていて、その後電機メーカーに入り、日本の政府機関向けに人工衛星の画像を解析するシステムを開発していました。その時に海外のベンダーの製品を買い、あるいは彼らに特注システムを開発してもらい、日本のお客様向けにさらにインテグレートして売るということも含めてやっていたので、前職から外国の方との仕事経験はありました。ただ自社が開発するシステムの一部を切り出して開発を一部委託するようなオフショア開発経験は未だありません。

そこから現在のお仕事に移られたきっかけはなんですか?

元々、前職の会社から新規事業開発という形で人工衛星以外の分野でビジネスを広げるという至上命令をいただき、ジョイントベンチャーとして今の会社を作りました。その後独立したことがきっかけになります。

社内のチーム構成としてはどのような体制を取られているのでしょうか?

組織内のプロダクト開発本部の中で二つのチームに分かれていまして、片方はAIなどの解析処理を作るR&Dチーム、もう片方はR&Dチームが開発した解析APIをコールして実際のSaaSにインプリメントするプロダクト開発チームです。そして現在、前者のR&Dチームで外国籍エンジニアのリサーチャーを採用しています。

社内の日本人エンジニアと外国籍エンジニアの割合としてはどのようなものですか?

組織内で外国籍チームと日本人チームが完全に分かれています。R&Dチーム内では7人中6人の割合で外国籍エンジニアになります。このチームは公用語も英語になります。国籍はアジアと中東に集中していて、今はイラン、インドネシア、バングラディッシュ出身のエンジニアが活躍しています。今年もインド人と台湾人のリサーチャーが入社する予定です。対して、プロダクト開発チームは全員日本人です。

外国籍エンジニアの採用はどのようなきっかけで始められたのでしょうか?

会社設立当時の2016年あたりはAIブームで大手の企業にAIエンジニアが流れていき、人材の確保が難しかった上に、設立当初でまだお給料もたくさん払えないという課題がありました。そのような状況下だったので、リモートセンシングの専門家を集めるのに苦労していたんですが、外国籍エンジニアに目を向けたら解決策が見えてきたという背景があります。

ハイコンテクスト文化を持つ日本。当たり前になっているその感覚をどう言語化するか。

チーム

今現在は倉本さんご自身が全てのプロジェクトを見られてるのでしょうか?

そうですね。ただ私が細かく指示を出すというわけではなく、進捗状況を1週間に一回くらいモニターしていて、そこで問題が生じていると察知した時のみ介入するといった感じです。前職から海外との関わりが強く、英語でしっかりと会話できる日本人のマネージャーとリードリサーチャーが多国籍エンジニアチームに指示を出す仕組みになっています。

多国籍チームのマネジメントで大切にされていることはありますか?

外国は日本よりローコンテクストなコミュニケーションを取ると感じるので、そこまで説明する必要ないかなと思うことまで含めて言わないと伝わらないということを意識するようにしています。ただ、彼らにとってマイクロマネジメントは心地よく感じないと思うので、細かいことは言わないようにしつつ、会社として期待するパフォーマンスは出るようにリードするといったところを工夫するようにしています。

多国籍チームのマネジメントで苦労されていることはありますか?

複数のタスクを一度に振ると気づいたら一つしか進んでいないことがあります。遅れてもあまり支障が出ない場合はそのまま続けてもらうのですが、カバーできない時は「一旦今週はその二つ止めていいからこれやってね」という風に明確に言語化して指示を出すことで、期待したアウトプットが出るようにしています。

会社を立ち上げた当時に失敗されたエピソードは何かありますか?

失敗というのは思いつきませんが、この行動は良くなかったと感じることはあります。私たちの会社には1ヶ月に一回社員全員が集まって経営状況をシェアする全社会議があるんですが、コロナ流行前はオフラインで行い、日本語ですのでその時は外国籍エンジニアのために同時通訳で進めていたものの、オンラインになってからはそれが難しくなり、スルーしてしまっていました。明らかに彼らにとって居心地がよくない上、会社にとっても生産性が低かったと感じます。
今は同時翻訳ツールを使用して英語字幕を出すことで幾分かは解消していますが、翻訳ツールの精度も正確ではないのでもう少し何とかしないといけないと思っています。課題となるのは日本人だけのオンラインミーティング時はそれに合った会議をするといったそのミーティングにも合うやり方で、尚且つ平等に情報を伝えるための方法を考えなければならないことですね。

英語で課題に感じる点はありますか?

日本人のマネージャーとリードリサーチャーは英語が堪能ですので、スムーズにコミュニケーションを取れています。また、私自身は前職でずっと海外の人と仕事をしていましたし、会社の研修で3ヶ月間語学勉強をさせてもらったので、もちろん完璧ではないですがコミュニケーションにおいてR&Dチームの中では不自由はありません。
ただ、先にも述べたとおりR&Dチーム以外のチームは全て日本人でしかも英語に苦手意識を持った社員が多いので、チームを跨いだコミュニケーションには課題を感じています。

多国籍チームも含めて社員全員が働きやすい社内制度

コミュニケーション

宗教の違いに関して何か工夫されていることはありますか?

オフラインで会社に来ていた時は更衣室をお祈りのスペースにして好きな時に使っていいようにしたり、私たちは元々フレックスタイム制を導入していることもあり、コアタイムだったとしてもお祈りを認めるということいます。また、社内の懇親会などでも、宗教に応じてハラール料理を準備するなど、できる限りの配慮はしています。

R&Dチーム内での課題は何かありますか?

私たちの研究のアウトプットをお客様に報告しなければならない時、報告書を全て英語から日本語に翻訳しなければならないことですね。翻訳できる人材も少ないので彼らに一気に負荷がかかってしまうことを問題視しています。

オンラインでの仕事となると、仕事以外で上司や同僚とコミュニケーションを取れる機会が無くなってしまうのではと感じるのですが、何か工夫されていることはありますか?

私もやはりコロナの状況下でもオフラインのコミュニケーションは一定数あった方が良いと思うので、それを促せるよう会社の制度として作っているものは幾つかあります。
例えば、一人2200円までのランチ補助金と5500円までの社内懇親会の補助金を会社から支給する制度を設けているため、他の社員に何か相談したい時などに「ランチでも行かない?」と切り出すことにより、テレワーク化で会社で会うのが面倒と言う人が増えている状況下でも、相手を誘いやすくなります。こういった「社員同士が仲良くできる社内制度」を導入しています。
ただ、積極的にそれらの制度を多用する人と意識して誘わないと使わない人に二極化しているため、四半期に一回くらいはチームで集まるようチームリーダーに提案しています。それは外国籍エンジニアも同様ですね。

日本のIT人材不足問題がありますが、日本人のみで構成されているプロダクト開発チームでも、外国籍エンジニアの採用は考えておられますか?

海外まで活動範囲を広げた方が人口も何十倍と上ですので明らかに好ましいと考えてはいるんですが、プロダクト開発チームはタスクの指示を明確にドキュメント化するということがまだ出来ていなくて、日本人ならではの行間を読むスキルをお互い使った上でコミュニケーションを成り立たせている感じがします。スコープが明白になっていれば丸ごとオフショアでのソフトウェア開発で請け負っても良いのかなとは思うんですが、残念ながら今はそこまで明確な仕様書を作れる余裕がないです。それがプロダクト開発チームでの外国籍エンジニア採用への課題となっていますね。

最後に

オフショア開発

今後の展望をお聞かせください!

R&Dチームは継続して外国籍エンジニアも取りつつ、英語でのコミュニケーションや日本語への翻訳などが可能な日本人エンジニアも増やしたいと思っています。プロダクト開発チームに関しては、日本の少子高齢化は自明なので外国籍エンジニアも働ける場を徐々に作っていきたいなと思っています。あとは日本よりも海外の方が優秀な人材がいることに加え、私たちが世界で活躍していこうとなると、海外の優秀な人材を取らずにはなかなかそれは達成できないと感じます。ですので今後はそのビジョンが実現できる体制を作っていきたいと個人的には思っています。

今後オフショア開発を検討している企業や、海外で活躍の幅を広げたいと考えるエンジニアにメッセージをお願いします!

企業に向けて:
日本人の中に外国籍エンジニアの採用を一気に導入してしまうとお互いに抵抗もあると思うので海外に親しみのある日本人の下のみでまずは働いてもらって、スモールスタートという形で始めるのが良いと思います。

個人に向けて:
英語でコミュニケーションを図る時、上手く喋ろうとする必要はないんじゃないかと感じます。世界の人口のうち第一言語として英語を使っている人は少数なので、訛りがあっても、文法が多少間違っていても伝えることが重要だからいいじゃん、ということを伝えたいですね。それを踏まえた上で臆せずに英語でコミュニケーションを取ればいいんじゃないかと思います。


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