オフショア開発で品質を担保するには、こちらから歩み寄ること【株式会社リッケイ 中部 俊之 氏】

中部 俊之 氏 | 株式会社リッケイ

明治大学卒業後、SIerに入社。アセンブラによるPOSシステム開発に従事。その後転職を重ね、設計、製造、評価、運用保守、プロジェクト管理と一通りの業務経験を積む。中国オフショア開発のPMを複数担当した後、ベンチャー在籍時にベトナムと出会う。2011年2月にベトナムオフショア会社2社とラボ契約。アプリ開発のPMを担当し、ベトナムの可能性を実感する。2011年8月にベトナム事業の立上げのために日系SIerに転職し、ベトナム子会社の事業計画立案、体制構築、運営支援、プロジェクト管理などの現地対応を経て、ベトナム事業の営業責任者となる。現在はベトナム資本の株式会社リッケイの営業部に所属。グローバル企業へ成長するために2025年にグループ全体で一万人体制を目指す。

はじめに、現在のお仕事について教えてください!

今はオフショア開発の営業をしています。弊社は千人を超える体制で、一万人体制を目指して急成長している会社なんですが、さらなる成長に向けた貢献を求められて今年7月(当時入社3ヶ月)から入らせていただいています。ベトナム側には日本人が1名、日本側には6名いまして、他のメンバーは全員ベトナム人という会社です。リッケイで働いてから、やる気に満ちたベトナム人メンバーと一緒に仕事が出来て、充実した日々を過ごしております。

ベトナム人の国民性に惹かれて、日本からホーチミンへ

エンジニアになったキッカケを教えてください!

私はバブルが弾けた時に大学を卒業した世代でして、当時IT・コンピュータ業界の需要が高まり始めたこともあり、この業界に入りました。ただ大学は数学科を卒業していまして、コンピュータに関する勉強をしていたわけではなかったので、そういった知識は社会人になってから勉強をし始めました。

現在は営業をされていると仰っていましたが、これまではマネジメントサイドにも携わられていたのでしょうか?

前職までは技術系のマネジメントサイドの担当がメインでして、大学を卒業してからSIer入社後に転職を重ね、ベンチャーでベトナムと出会い、日系SIerのベトナム拠点立ち上げを経て現職という形でした。前々職のベンチャーでは技術長として、オフショア開発企業2社と合計30名のラボチームを契約しており、前職のSIerでもベトナム拠点の立ち上げからマネジメントまで携わっていました。

マネジメント

ベトナムに興味を持ったキッカケなどありましたか?

元々は前々職でベトナムとご縁があって来たんですが、彼ら彼女らの国民性に惹かれました。その前に中国でオフショア開発をやっていた時、中国のメンバーが仕様変更に伴う調整を全然してくれなかったり、出てきたアウトプットも品質が良くなくて、マネージャーとして本当に困ったことがあったんです。その一方でベトナム人は協力的で、色々と心配もしてくれる国民性があって、そこに惹かれてベトナムでの立ち上げに関わりました。

会社のメンバーは家族のような存在、ベトナムならではの働き方

海外でのエンジニアマネジメントで意識していたことはありましたか?

当初ベトナムでのオフショア開発を担当していた時に意識していたことは「説明は分かりやすく簡潔に、英語で直接伝えること」です。通訳を通すとワンクッション挟むことになるので伝達が遅くなりますし、伝えたいことが100%伝えられないことがあります。なので図や動画を用いたり、なるべく直接英語で説明をしていました。これは社内のコミュニケーションでも営業する際にお客様に説明する時も同じです。尚、弊社は日本語堪能なスタッフが多く、日本人社員も在籍しておりますので、日本語でのコミュニケーション面はご安心ください。

そしてオフショア開発ではよく言われますが、丸投げしたら失敗します。品質を担保できるようにこちらから歩み寄っていくことが大事だと思いますし、お客様にもそう伝えています。そういった意味で苦労する部分は多かったですが、結果的に期待したものが出るようになりますよ。

エンジニア

マネジメントをしていて価値観の違いを感じたことはありますか?

日本人とベトナム人で違う価値観の一つは、仕事より家庭を優先するところですかね。ベトナム人は仕事が溜まっていても、家庭で何かがあればそちらを最優先します。日本人はせめて仕事が一段落してから向かう人が多いとは思うんですけどね。

あと、仲間意識が強いところもですね。会社が家族のような感じなので、上下関係なく仲良く和気あいあいと仕事をしていけます。それがベトナムでは強く表れるので、私は仕事がしやすく、魅力的なところだなと思っています。

海外でのマネジメントで大切だと思うマインドセットはありますか?

先ほど申し上げたようにベトナムにおいては、仕事仲間も家族のような存在になるので、信頼関係構築は非常に重要だと思っています。そのためには可能ならベトナム現地に行って、彼ら彼女らの輪に入っていき、チームワークを高めることですね。あとは、Facebookなどで繋がって、いいねし合うなど仕事以外で繋がることも大事だと思います。

そのためにも傾聴は大事だと思いますね。自己主張するのではなくて、まずは聞くこと。それは仕事だけじゃなくて、友達作りにおいても大事だと思います。

日本とベトナムが良きパートナーになるために

マネジメントをどのように学びましたか?

研修を受けたり、PMPの勉強をしたりはしていましたね。あと新人の時は自分のマネージャーがやっていることを見様見真似でやってみたりしていました。

中部さんが新人だった頃、もし海外でのプロジェクトマネジメントにアドバイスをくださるメンターがいればご利用になっていたと思いますか?

新人の頃だったら嬉しかったと思います。前の会社では、当初は自分で営業してとってきたオフショア案件を自分でマネジメントする形をとっていたのですが、お客様に対して色々とアドバイスをするメンターのような立場もしていました。その経験から言っても、メンターは重要だとは思います。

プロジェクトマネジメント

ベトナムでオフショア開発をすることの魅力についてどう思われますか?

コスト面はもちろんあると思いますが、私はそれ以上にベトナムという国自体に魅力を感じています。先ほども申し上げたように、ベトナムの国民性に惹かれていてこちらに来ると元気をもらえます。もし今後日本よりベトナムの方が上に来たとしても私はベトナムを選ぶと思いますし、日本企業がベトナムを使うというより良きパートナーとしてやっていきたいなと思います。

今後の展望について教えてください!

弊社は「ベトナムの価値を高める」ことを目指して「ベトナムでNo.1のテクノロジーグループ」になることをビジョンとして掲げている会社です。日本企業と1,000件以上のプロジェクト実績を持ち、顧客満足度は90%の評価を頂いており、日本のお客様から高い信頼を得ています。お客様とのコミュニケーションを大切にし、様々な情報と人をつなぐことより、プロジェクト成功に貢献しています。今後は世界中のお客様から信頼されるグローバル企業になるために、2025年に一万人体制を目指しておりまして、営業チームを強化していく必要があります。元々はベトナム人だけだった営業チームに日本人が入ることで、日本人のお客様とうまくやっていけるように強化しています。ベトナム最大手のFPTソフトウェアに追いつくためにも、現在のラボ型開発に加えてコンサルのような上流工程までできるような会社を目指していきたいと思っています。

最後に

今後、海外に活躍の幅を広げていきたいと考えている企業や個人にメッセージをお願いします!

海外で仕事をする上で大事なのは、前向きに物事を考えて業務に取り組んでいくことと、現地のメンバーとのチームワークだと思います。その辺がネガティブだとあまりうまくいかないです。仕事以外にも現地の文化を楽しむ気持ちを持っていただいたら良いのかなと思います。


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