優秀なIT人材が増え続けるインドネシア、魅力は単価だけではない【PT. Toyo Business Engineering Indonesia 佐々木 淳 氏】

佐々木 淳 氏 | PT. Toyo Business Engineering Indonesia
製造業向けのシステム提案、導入コンサルティングを、日本で7年、中国で8年経験。
2019年からインドネシアで、mcframe(エムシーフレーム)生産管理システム導入のプロジェクトマネジメントを複数社で担当中。
原価管理改善の企画や、設備稼働モニタリングをベースとした製造IoTプロジェクトも多数手掛ける。

はじめに、現在のお仕事について教えてください!

日本本社はビジネスエンジニアリングという会社で、元々東洋エンジニアリングというプラントの会社のIT部門が分社化してできた会社です。インドネシアでは「東洋」をそのまま残して、東洋ビジネスエンジニアリングインドネシアとなっています。

ビジネスエンジニアリングはSAPという有名なドイツの基幹システムパッケージを日本で初めて導入した会社なのですが、SAPの日本法人がない時代からドイツ本社とやりとりをして製薬業界を中心に導入をしていきました。それから製造業向けの生産管理を中心とした自社パッケージであるmcframeも開発して、パートナー企業を増やしながらビジネスを広げてきています。日本の製造業はこだわりが強い企業様も多いので、日本企業のノウハウが詰まった開発もしやすい自社のパッケージを中心に導入サポートをしています。

また、上海、バンコク、シンガポール、シカゴ、ジャカルタに拠点がありまして、各国で自社ブランドの基幹システムやIoTソリューションを日系企業をメインに広めています。私もインドネシアに来る前は上海にも駐在していました。

日本語が話せる中国人と、英語が堪能なインドネシア人

インドネシア

エンジニアになろうと思ったキッカケを教えてください!

私は元々エンジニアというよりITコンサルタントになりたかったんですね。私は2003年入社で、その頃は「ITとコンサルティングの両輪」が流行っていたこともあり、規模が小さくても、プロジェクトをプライムとして受注して推進していける今の会社を選びました。ただITコンサルになるために入ったのですが、ITを知るためにはまずは開発からということで、物流系のハンディーターミナルや倉庫システムの開発からスタートしました。

オフショア先としての中国とインドネシアの魅力を教えてください!

1. 中国
十数年前は、上海の協力会社にオフショアを発注する側だったのですが、中国は漢字文化なので当時から日本語ができるメンバーが多かったですね。優秀なブリッジSEがいて、日本の商習慣を理解してくれる人材が多かったです。だからあまり海外な気がしなかったです。それが上海の魅力ですね。日系企業が進出してから結構歴史もあるので、工場のお客様もシステムの仕様を明確に考えてくれていたり、プロジェクトの要件定義がしやすかったです。

2. インドネシア
まだ発展途上の色が強く、日系企業の管理職の厚さは中国と開きがあると思います。ただ、まだまだやるべきことがあり、伸びしろがあるなとも感じます。インドネシアでは英語が得意なメンバーが多いですね。インドネシアに留まらず、東南アジア多拠点展開を一気に進めるといったプロジェクトの場合に、基本的に英語に抵抗のないメンバーが多いので進めやすいです。単純にインドネシアでの単価が比較的安いということもありますが、それ以上に日本でグローバルプロジェクトを進められる人材が少ない中、そういうことをインドネシアで受けれられるのはインドネシアのメリットかなと思います。

上海とインドネシアでマネジメントのやり方は変わりましたか?

中国では私も日本語でよかったので、言語は問題なかったです。インドネシアでは英語のコミュニケーションなので、日本人としてはあまり得意ではないですよね。なので細かいニュアンスを確認する時は大変です。だから日本語もインドネシア語も堪能なブリッジSEを、特に大事な話、細かい話で仲介してもらうことはシンプルで良い方法だと思います。

生産管理システムを導入していくことは難易度が高いと思っているのですが、仕様を決めていかないといけない時に中国では要件決めが明確で日本のようにウォータフォール型で進んでいけます。でもインドネシアでは、お客様がシステムにそもそも慣れておらず要件を決めきれないことが多いです。だから日本や中国と同じやり方をしているといつまでも決まらず、その場合は他社での実績があるやり方をお勧めして半ば強引に進めていくこともあります。ただこの方法は後で修正をするリスクが増える反面、こうしていかないとインドネシアのプロジェクトは中々進まないという難しさがありますね。

インドネシア人の「大丈夫」は信頼しないほうが良い?

オフショア

海外でのエンジニアマネジメントでの苦労や失敗談はありますか?

日本を離れて時間が経っているので日本と比べて、を忘れてしまっていますね。ただ日本の方と仕事をすると、10言って15-20の仕事をしてくれるので感動します(笑)。あとインドネシアで(東南アジアでも?)これはあるあるだと思うのですが、「この仕事大丈夫?」と聞いても「大丈夫」としか返ってこないので、それを真に受けていると期日になっても何もできていないことが多々あります。ですので「大丈夫」「分かった」と言われても、細かく確認していくことが大事です。また、ミスコミュニケーションは必ずどこかで発生してしまうので進捗管理を具体的にして成果物を確認することが大切ですね。

海外でのエンジニアマネジメントで大切にしているマインドセットはありますか?

その国との相性はあると思いますね。そもそも文化の違いがある上、インドネシアでは更に宗教を身近に感じるのでマインドセットとしては、彼らとその文化に敬意を払いつつ、ミスコミュニケーションを起こさないようにまめに確認するといったことです。思い通りに進んでいなくても毎回怒ってもいられないので、そういうものだと思い、次どうするかを考えるようにしています。中国人は自分の考えを通す方が多く、インドネシアでは協調を重視する方が多いと感じます。その結果、会議で決まらないことも多々あります(笑)。だからそういう曖昧なことを時に許容しながらも致命傷にならないように決めることをしっかり押さえながら進めていける人が向いていると思いますね。

具体的にどのようにマネジメントをされていますか?

個人的に気をつけていることは頭ごなしにそれが違うとは言わないようにしています。どうしてこうしたのかという理由を聞きながら、感情的にならないように、ここの考え方が違うんだねと確認しながら、じゃあ次はこうしていこうとメンバーと対話すように心がけています。

海外のエンジニアマネジメントで印象に残っているエピソードはありますか?

中国で、上海から遠く離れた地域のお客様にシステム導入するプロジェクトを実施していた時、うちのメンバーも上海から現地に飛んで長期間のホテル暮らしをしていました。日本のパートナーの下請けでやっていたのですが、そんな状況の中であるメンバーが、「こんなに2ヶ月も家から離れるプロジェクトをしている会社は辞めるべきと奥さんから言われたので辞めます」と言われたことがありました。私としては家族を大事にするということを理解はできるのですが元請けのパートナーさんに説明するのが非常に難しかったですね。結局率直にご相談したのですが、日本人の感覚では仕事優先でしょ?と思ってしまいます。やっぱり日本人の方が特殊なのかと感じた経験でした。

最後に

マネジメント

今後の展望について教えてください!

私は日本で働くよりも海外で働く方が楽しいと思い、10年以上に渡って海外のグループ会社を回らせてもらっているので日本で仕事をするのが、もはやイメージできないというところはあります(笑)。日本はIT人材が不足していることも問題となっていますが、これからグローバルな時代になるともう何年も前から言われている中、海外に出ているIT人材が少ないなと感じます。

我々のお客様も日系企業が多いので、自社ソリューションをローカル企業にも広めたいと思いながらもいきなり達成できるほど簡単ではないと思っています。ただ、東南アジアで製造業向けのシステム導入を支援している数少ない日系企業として新しい事例をどんどん発信していきたいです。実際に、最近ではインドネシアの製造業様で設備のデータを自動で収集して稼働状況をリアルタイムで把握、分析するというIoTシステムの事例を発信することができました。

また、コロナで往来ができなくなったので日本本社で決めた基幹システムのグローバル導入展開を日本から出張で支援することが難しくなり、そもそも日本ではそれができる人材が限られている現状があります。その様な中、インドネシアでは優秀な人材がどんどん増えておりますし、語学も堪能な方が多いので、今までの「価格が安いからオフショアをしていた」というレベルから「語学が堪能でプロジェクトマネジメントもできる、だからグローバル展開のプロジェクトで中心となって活躍してもらう」。そういう事例をどんどん作れたら良いですね。

海外に活躍の場を広げたい企業・エンジニアに一言お願いします!

海外のオフショアを使いたいと考えている企業様に対しては優秀なブリッジSEを確保することが成功の第一歩かなと思います。今は単価が安い、というアドバンテージではなくなっているのでグローバルに活躍できる人材を探しながら展開をしていくことが大切だと思います。

エンジニアの方には、異文化コミュニケーション力、ITのスキル、海外の現場業務で何が求められるかがわかる、そういう企業から欲される人材になることができればベストだと思います。エンジニアはやることが結構多いので自分は何を強みにしていくかを明確にすることが必要ですね。そのためにはとりあえず勇気をもって海外に出るのが一番早いですね。海外に出たら一番成長できるので(笑)。


————————————————————————————————————————

ACTIONでは教育型オフショア開発プログラム(フルリモート)を提供しています。

海外で活躍しているCTOがメンターシップしながらラボ型のオフショア開発をします。

自社のエンジニアを海外でも活躍できるように育てます。

————————————————————————————————————————

海外CTOコミュニティ・教育型オフショア開発に興味がある方 こちら

関連記事

  1. MECE的に平易な表現で、現場の温度感も伝わるように【株式会社ハイブリッドテクノロジーズ 高村 亙 氏 / T. H. 氏 】

  2. 海外エンジニアマネジメントは明確なルール作りから始まる【BRYCEN MYANMAR 成田雄一氏】

  3. 報連相から教え、密にコミュニケーションをとる【Drose Consulting Indonesia 田中 真介 氏】

  4. インターネット急成長時代に東南アジア進出、180°変わった当時と今【NEO THAI ASIA Co., Ltd. 渡辺 立哉 氏】

  5. エンジニア不足の日本と成長著しいインドネシアの架け橋に【株式会社Jobwher 森川悠希氏】

  6. 生産性を高めない無意味な常識は、全部捨てる【PT. LOGIQUE Digital Indonesia 吉次 敬 氏】