安心・安全なオフショアとは何か?常に自分に問いかける。【外部CTO3社、IT顧問1社 柴田 有一郎 氏】

柴田 有一郎 氏 | 外部CTO3社、IT顧問1社

甲南大学経済学部卒業後、前職の株式会社 Ruby開発に入るまで、約15年間、ソフトウェア開発を経験。

2015年、ソフトウェア開発会社の株式会社 Ruby開発に転職し、新規に事業部(受託開発事業部)を立ち上げるため事業部長へ就任。当初1人で業務を開始し、事業計画の立案、人員計画、ブランディング戦略、マーケティングから、案件受注の営業活動、エンジニアの採用活動、プロジェクトのマネージメントを担当。
2017年に新規事業を黒字化し、執行役員に就任。
2019年7月に取締役に就任。

2017年、Ruby Development Vietnamを、ベトナム ハノイに設立し、代表取締役社長へ就任。主に資金調達を含む会社運営、エンジニアの採用活動を行う。 2019年にダナン支店を設立し、2019年に黒字化を達成。5年間で東京、大阪、福岡、仙台、大分、ハノイ、ダナンの 7拠点で約60名の多国籍・多拠点エンジニア組織を0から構築し運営。

2020年に、新しくソフトウェア会社を設立するため、株式会社Ruby開発の取締役と、 Ruby Development Vietnamの代表取締役を辞任。
株式会社ベトナムオフショア開発を設立し、現在に至る。

はじめに、現在のお仕事について教えてください!

会社について
弊社株式会社ベトナムオフショア開発と申しまして、その名の通り、ベトナム人エンジニアを使用してソフトウェア開発を行う会社となります。特徴としては日本人のエンジニアは一人もいません。日本人は営業や事務のみとなっております。お客様はみなさん日本の方で、オフショアでの開発をご希望のお客様の開発案件をリモートで請け負い、ベトナムのエンジニアが開発している形になります。

会社の特徴について
ただ、私も独立して2年ちょっとでして、前職では代表として運営していましたが、実際に弊社を立ち上げたのは去年ですので、エンジニアが2、3人しか採用できていない状況です。ただ前職からのオフショア経験がトータルで7−8年ありますので、その経験を生かしてアライアンスを組んでいる会社が多くあり、その会社と共にお客様の開発支援に取り組んでおります。自社のエンジニアが少ないことはデメリットですが、アライアンスを組んでいる会社が5.6社ありますので、かなり柔軟にニーズを持っているエンジニアをアサインすることができたり、体制も数名から数十名まで幅広く構成できたりと、そういった点は大きなメリットだと感じています。

多くの場合、オフショア開発の値段が安い点を魅力に感じ始めたものの、現地スタッフとのコミュニケーションがうまくいかなかったり、商品やサービスの質が下がってしまい、結局日本人を入れてしまうことが傾向としてありますが、弊社はそうならないためのサポートに力を入れています。立ち上げ後1ヶ月程は私や他の日本人のPMがコミュニケーションや品質の担保を中心にサポートします。大体この1ヶ月でスムーズに開発が行えるようになっていきます。

個人的なお仕事について
最近はサポートや外部のCTO業務の依頼を受けることも増えております。スタートアップ企業やベンチャー企業が現地のエンジニアやPM、CTOをいきなり採用することは難しいため、採用できるまでもしくは組織がある程度安定するまで、私がお手伝いをさせていただいております。今外部CTO契約を三社とIT顧問契約を一社請け負っています。

IT業界に入ったきっかけを教えてください!

大学在学中にちょうどインターネットが普及し、MicrosoftやAppleなどのIT企業の名が広まったり、授業でもベンチャーキャピタルについて学んだりして、今後伸びていくと言われていたITの分野に興味を持ち始めました。私は経済学部だったんですが、同時に独学でプログラミングを勉強しはじめ、そこから本格的にIT業界や起業の世界に入り込みました。

その後のご経歴についても伺ってもよろしいですか?

大学卒業後はSler企業に就職し、そこから十数年はお客様の開発支援を、例えば大手通信系の基地局の開発など、携帯電話の通信整備を行う業務を遂行していました。

元々はそういった組み込み系をやっていたんですが、技術の幅を広げるため様々なプログラミング言語を学んでいくうちに出会ったRubyという言語を使って、ウェブアプリが簡単に作れるフレームワークに触れ合いました。それがきっかけで、ウェブアプリ開発に熱中しはじめ、その頃からウェブベースでデータを管理したり、サービスを提供したりしてさらに技術を身につけていきました。

ベトナムでは組織全体の成長に価値を見出す。

海外との接点はいつから持たれたのでしょうか?

前職で受託開発事業部を私一人で立ち上げまして、そこから開発、事業計画、採用に至るまで自分で担っていました。その間一番困ったのがエンジニアの採用だったんですが、その頃から会社に海外のエンジニアから求人応募が来はじめたことにより、面接を重ね、初めて彼らのスキルなどが優れていることを知りました。その後、海外のエンジニアを使ってソフトウェア開発をする方向に舵を切り、実際にベトナムで会社を立ち上げ、現地のエンジニアの採用を進めていったことがきっかけになります。

ベトナムの魅力を教えてください!

初めてベトナムの街に下り立った時はまだまだ交通整備されていない状態だったんですが、人口の若さゆえの熱気に圧倒されました。実際にエンジニアの面接をやっていった時にみんなとてもポジティブで仕事に対して前向きで自信や熱量を感じました。そこに対しては現在も同じように感じていますし、すごく魅力的だと思います。

文化の違いで苦労したことはありますか?

転職率の高さですね。ベトナムでは一定のレベルを保つ組織内での個人的な成長というよりも、組織全体の成長に価値を見出す人が多く、それが見出せなければ転職するケースがたくさんあります。はじめのうちは私も一生懸命(彼らの転職を)止めていたんですが、無理でしたね。これは日本でも共通する部分なんですが、エンジニアって職人ですから、ストレスのない自分の成長を最大限に引き出せる環境というものを重視するため、環境を変えたいって思った時はもう断固として決めている時だと感じます。ですので、(転職を)止めるよりも、会社を変えたいって思わせない環境を作ることが大切だと気づきました。

言語面で苦労はありますか?

あまりありませんね。というのも弊社はクライアントが日本人ですので、ブリッジSEに関しては日本語を話せるベトナム人を採用しています。なので仕事の時は日本語でコミュニケーションを取っています。ただベトナム語や英語の勉強はしていますし、プライベートの時はそれらの言語を使うことを心がけています。

海外でも日本でも個人のバックグラウンドに関係なくリスペクトを持って接し、安心感を与える組織作りを徹底する。

海外でのお仕事において大切にしてることはなんですか?

日本人の特徴として、行間を読んだり、直接的な言葉を避け遠回しな言い方をしたりすることが多いと思うんですが、それはベトナム人には全く通じません。ただこれは他の国の方にも共通することで、私は日本人が特殊だと感じています。ですので、この感覚の違いに関しては、ベトナム人ではなく日本人を教育するようにしています。また日本人は「見える化」が不得意ですので、それをかなり推進したマネジメントをしています。例えば開発案件や誰がどの作業をしているのか、作業工数を可視化できるように工夫しています。

価値観の違いで苦労されたことはありますか?

私は日本にいた時、企業第一主義とかではなく、みんなのやりたいことやモチベーションなどを考慮しながら会社を進めていきたいと考えていたんですが、ベトナムではそこまで個人にフォーカスして何かやっていくというよりは、会社全体としての成長をすごく重要視していて、そういう意味では当初の評価制度やモチベーションの上げ方がベトナム人の価値観とは違っていたなと感じました。

海外の方とお仕事をするにあたってのマインドセットはありますか?

日本の方でも海外の方でも必ずリスペクトをすることですね。やっぱりエンジニアとしてスキルを磨き、ものを作っていくという職業を選んでいるということは、それなりに志が高く、能力もある方なので、リスペクトを持って接しないと見透かされますね。なので信用を重んじて、彼らのやりたいことをある程度尊重すると、自分が大切にされているということを理解してもらえるのでそういったところは意識しています。あとは失敗しても再トライしやすい、安心感を与える雰囲気作りは組織全体で取り組んでいます。

日本語が話せる優秀なエンジニアが増え続ける新興国・ベトナム。

オフショアの魅力を教えてください!

営業面でいうと(日本の)人材が足りていない部分を外から補えるところと、相対的に賃金が安いところですね。また、日本でのエンジニア人材も流動的になっていて、すぐに辞めてしまったり個人事業主になる方が増えているため、人材を安定して確保することってかなり難しくなってきています。その点に関して言うと、オフショアが最適かなと感じます。

ベトナムのエンジニア市場の動向についてお聞かせ願えますか?

オフショア開発会社はどんどん増えてきています。首都のハノイと商業が盛んなホーチミンが一番エンジニアが多い場所で、それでも各企業がエンジニアをさらに確保しようと、どんどん地方の方にエンジニア採用を広げている状況です。ただ、それでもやはりベトナムではエンジニアはかなり確保できます。なおかつ日本語ができるエンジニアが確保できるため、日本語でオフショア開発をするなら東南アジアの中でベトナムが一番適していると思います。また別の側面で話すと、ベトナムの会社が日本法人を作って運営する会社が今増えています。今後ベトナムのソフトウェア会社がたくさん日本にできるでしょうね。

最後に

今後の展望をお聞かせください!

コロナ前のようにエンジニアを増やして満足できる分の仕事を用意することも難しく、日本でのエンジニア不足が問題としてある状況下でどのように安心安全にオフショアをやっていけるのかというのはいつも私の課題としてあります。

私はスタートアップ企業と仕事をすることが多いのですが、まだ方向性の定まっていない企業も多いため、プロダクトの内容や仕様の変更が頻繁にあるんですよね。そういった場合、オフショアや外部のエンジニアと話を進めることが難しく、彼らにとっても効率が悪くなり、結局組織内のエンジニアがコミュニケーションを取りつつ柔軟に開発を進める方がメリットが多くなります。ただエンジニア自体が不足しているので、それを補う役割ができるのがオフショアのエンジニアであり、今例にあげた状況でも彼らが活躍できるようになれば素晴らしいな、と思っています。

ただ、オフショアをいきなりやろうという会社はやはり少ないのでどのように提案すればその企業にとってオフショアがメリットだと感じていただけるのか、というのか今本当に悩んでいるところですね。

今後オフショア開発を検討している企業や、海外で活躍の幅を広げたいと考えるエンジニアにメッセージをお願いします!

エンジニアの話になってしまいますが、もし海外で職につけるのか懸念しているのなら、世界でいくらでも仕事は手に入るので、チャレンジしてみることが一番だと思います。ただ、もし海外で働くことに興味があるけれど今はまだ難しいと感じるのであれば、オンラインで海外の仕事をして少しハードルを下げてみるというのも一つの手だと思います。

 

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