海外で働くなら言語と文化の違いを認める柔軟な気持ちを持つこと【GLOBAL DESIGN IT Co, LTD. 塩澤寛氏】

東南アジアの中でもオフショア開発先として人気がある国として、これまでベトナムをご紹介してきました。その理由は、日本と比べてIT人材のリソースが豊富であり、親日である国民性、人件費の安さなどが挙げられるでしょう。ただ、最後に挙げたベトナムの平均給与ですが、ベトナム統計総局の平均給与推移を見てみると、年々急増していることが分かります。2010年に平均年収18.4万円だったのが、2019年には41万円まで、たった9年で2.2倍以上に増えています。

ベトナム

では、その中でベトナム国内で人気かつ急増するITエンジニアの給与は相対的に見てどの程度なのでしょうか。TopDevの調査(2019)によると、フロントエンド・バックエンドエンジニアの平均月給は900ドル前後で年収にすると120万円弱であり、ベトナム全体の平均年収の3倍弱です。CTOやディレクタークラスにまでいくと年収450-700万円であり、日本の平均年収を遥かに超えるほどの給与を貰えることが分かります。ベトナム国内におけるITエンジニアの位置付けは間違いなく高級取りのイメージがあり、それが人気の理由の一つなのかもしれません。

オフショア
出典:
今回はベトナムに25年以上もオフショア開発として携わり、現在は現地法人責任者としてご活躍されている塩澤さんから、ベトナムでのオフショア開発マネジメントの苦労や課題感、海外エンジニアのマネジメントで大切にしているマインドセット、またこれから海外へ活躍の幅を広げようとしている企業へのメッセージなどをお送りいたします。

塩澤 寛 氏|GLOBAL DESIGN IT Co, LTD. Director
1995年に印刷会社でエンジニアとしてのキャリアをスタート。ホームページ制作・運用を担当した後、IT関連機器メーカーではバイヤーや企画にも携わる。2007年よりトランスコスモス株式会社で顧客向けのサイト・マーケティング運用のディレクターを務める。2015年にはオフショア並びにベトナム国内向けデザイン制作拠点を立ち上げ、責任者を担当。2018年よりGlobalDesignIT株式会社にて、ベトナム現地法人責任者としてオフショア開発やベトナム進出のサポートをしている。

中学生の頃からプログラミングに触れ、エンジニアとしてのキャリアを積む

エンジニアになったきっかけは何だったのでしょうか?

私はいわゆるファミコン世代でして、任天堂から発売されたファミリーベーシックというゲームプログラムを自作できる機器を使って、中学生の頃にプログラミングを始めました。BASICやCOBOLなどの色んな言語に触れていたので、最初に入った印刷の会社でもホームページの制作などをやっていました。

その後バイヤーや企画などの領域にも携わっていますが、エンジニアのバックグラウンドはどのように役に立ちましたか?

お客様にこういうものが作れるかと聞かれた際、どういう風に作っていくかをすぐに答えられることですね。ただしどんなに優秀なエンジニアであっても、コミュニケーションが上手くとれる人でないと厳しいです。私はエンジニアの中でもディレクターとしてお客様とコミュニケーションをとる機会が多かったですし、元からお客様と話して一緒にモノを作っていくのが好きだったので、強みを活かせました。話し方が大事だと思います。

海外に関わりを持ったのはいつ頃なのでしょうか?

25年ぐらい前の話なんですが、日本でフリーランスとして仕事をしていた時、知り合いの社長がベトナム人のエンジニアと仕事をし始め、その時に初めて海外の人と働きました。実際に海外へ出たのは今から6年ほど前で、ベトナムのホーチミンが最初です。日本のお客様が何をしたいのか、何を実現させたいのかを話し合って、その内容を整理した上でベトナム人に伝えるといったことをしていました。

コミュニケーション

現在はベトナムでオフショア開発のマネジメントに携わる

御社に入社したきっかけは何だったのでしょうか?

最初ベトナムに来た時には、現地の責任者としてアサインされていたんですね。ベトナムという市場にすごくメリットを感じていましたし、ベトナムの方と結婚もしていた中で一度日本に戻ってきました。その後ベトナムで仕事ができる会社を探していた時に、元々繋がりのあった弊社の社長にお話を頂いたので、ダナンで現在の仕事をし始めたんです。今はベトナムに移住して、戸籍だけ日本にあるような状態です。

ベトナムにご縁があったんですね。現在は御社でどのようなお仕事をされているのでしょうか?

案件の工数管理もしていますし、収支・人事・採用など会社自体の経営の一部も担当しています。

オフショア開発企業として、採用時の基準を教えてください!

今は日本の開発業務を担っているので、会社として日本語の能力をどこまで高められるのかに重きを置いています。なので日本語の能力が高い人を中心に採用・育成をしていて、弊社はダナンにある会社の中でも日本語能力が高い会社だと自負しています。

採用

ベトナムでは日本・日本語の人気はどのくらいなのでしょうか?

やはり若い人たちはアニメ・マンガの影響で日本語を勉強している人は多いですし、観光需要としても日本は非常に人気な旅行先です。そういう意味では日本は人気ですね。その一方で、稼げる場所としては韓国の方が人気だと思っています。それは日本の非正規雇用の問題などもありますし、アニメやマンガ経由で勉強をしているのはあくまで遊びのためという人も多い印象です。

御社で働かれているベトナム人の方々は、どのような理由で選んでいるのでしょうか?

日本に興味がある人、もしくは給料が高いからの2パターンですね。前者の中でも日本に行きたいと考えているような方々には、日本で働けるようなマナーを身につけて静岡にある本社での勤務を提案していくこともしています。

オフショア開発ならではの苦労

海外で働く際の苦労する部分は「言語と文化の違い」だと仰っていましたが、具体的なエピソードがあれば伺いたいです!

前提として言語と文化の違いが許せるのか、認められるのかという話です。私は日本でずっとベトナム人と仕事をしてきましたが、ついにベトナムに行くとなった時には「現地は汚いのかな」というイメージは正直ありました。実際には日本と比べて汚いと感じるところも多かったですが、それを普通のこととして受け入れられるかどうかが大事だと思います。柔軟な気持ちが大事だと思っていて、真面目で堅すぎる人は上手くいかないかもしれないです。

他にも「給与体系」の面でも苦労されたと伺いました。

昇給の考え方が日本とは全く違いましたね。日本では給料が昇給するタイミングって成果を出した後だと思うんですが、ベトナムでは先に昇給してから成果を精査するんです。自分で目標を設定して、成功する前提でお金を払っています。もし成功しなかったら次の昇給ではあまり上げないようにしようといった感じで、給料はどんどん上げていかないと辞められてしまいます。

また、昇給率も日本と比べて非常に高く、年2回が昇給のタイミングだとすると15-20%は当たり前のように上がっていきます。もちろん日本人がもらっている給料よりもベースがはるかに低いのですが、大卒初任給400ドルで、2年ぐらい働くと500-600ドルぐらいまで増えていくのが普通です。なので、仕事のやり方をしっかり見て評価することが大事だと思います。

ビジネス

海外のエンジニアをマネジメントする上で大切にしているマインドはありますか?

2点あります。1点目は、同じ国であっても地域によって言語も文化も性格も違うということです。例えばベトナムでは、ホーチミン・ハノイ・ダナンでエンジニアの性格が全然違います。私は最初ホーチミンで仕事を始めたので彼らの言っていることや気持ちがわかる場合が多いのですが、ハノイの人たちと話すと何を言っているのか全然分からなかったんです。もちろんダナンも同じように。ベトナムは特に日本と同じく縦に長い国なので、地域ごとに方言があって地域に合わせた対応が必要になってきます。

2点目は、スケジュールの管理に余裕を持たせることです。日本人はすごくマメで細かくて1分単位で仕事を詰め込んでいることもあります。同じことをベトナムでやっても守れないことが多くて、特に「自分がやれるであろう能力」と「実際にできるスピード」に大きく差異がある人が多いです。例えば、タスクを渡してどのくらいでできるかを聞くと「1日でできます」と答えるのですが、実際には「3日経っても終わってない」みたいなこともあります。ちゃんと守れる人もいますが、大半は改善しないので取引先にはかなり余裕を持ってお伝えしています。

現場でお仕事をされていて感じるオフショア開発の課題感などあれば教えていただきたいです!

人材の定着率ですね。3年間のサイクルができていて、短期間で辞めてしまう人が非常に多いです。日本のように長く仕事ができて、業務を飽きないでやり続けられる人がいれば良いなと思います。今はインターネットで採用活動をしていますが、なかなか人は集まらないですし人材の質もマチマチです。同じ質のエンジニアを採用し続けられるようなサービスがあれば便利だと思います。

最後に

これから海外に活躍の幅を広めていきたいと考えている企業へメッセージをお願いします!

海外で仕事をすることが、現地のエンジニアを安価で雇えることだとは思わないでほしいです。ベトナムや他の地域も徐々に給料は上がっていまして、コストが上がってしまったから別の地域に移ろうもしくは会社を辞めようとなってしまうと長続きしません。それよりも、日本だけでは人が足りないから人手を補うという考えのほうが人も付いてきますし、結果として長く上手くやっていけると思います。

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