スタッフとのCLOSING THE DISTANCE【LINE Technology Vietnam 杉山 快 氏】

杉山 快 氏 | LINE Technology Vietnam

慶應義塾大学卒業後、ネット総合金融グループであるSBIグループを経て、2013年に株式会社オルトプラスに入社、
本社の経営企画としてベトナム海外子会社立ち上げを行い、現地法人の代表として180名規模の開発拠点構築に貢献。
2018年よりLINE株式会社にジョインし、グループ会社であるLINE Technology Vietnamの代表を務め、現地の経営とマネジメントに従事している。
ベトナムでのマネジメント経験は通算で8年に至る。​

はじめに、現在のお仕事について教えてください!

私はLINE株式会社のベトナム子会社であるLINE Technology Vietnamの代表を務め、経営とマネジメントに従事しています。当拠点は、グループ内の開発拠点の1つとして機能し、現在は約90名のベトナム人のスタッフがいます。

急激に発展しているベトナムに惹かれ、現在はベトナムオフショア歴8年目!

ベトナム

IT業界に入ろうと思われたきっかけはありますか?

私は金融業界からキャリアをスタートさせ、前職で経営企画業務に携わる経緯でIT業界に入りました。現職については、元々長い間関心を持っていた会社で、LINEのサービスやユーザーファーストを貫くポリシーに共感し、さらに当時会う機会があったLINEのスタッフが、会社や自社サービスへの誇りをとめどなく語っていたことに心を打たれ、いつか携わりたいと思っていました。その後、ご縁あってジョインしました。

ベトナムを選んだ理由について伺いたいです!

前職の話になりますが、最初にベトナムを訪問したのは2013年でした。チャイナプラスワンとして注目されているベトナムを現地視察し、オフショア開発企業の方々やベトナム人ITエンジニアの方と直接お会いする機会がありました。その方々の高い熱量とポテンシャルを感じさせるベトナム人ITエンジニアのキラキラした瞳に感銘を受けたのを今でも覚えています。
また、急激に発展している国の活気を感じて、ベトナムに大きな魅力と可能性を感じ、拠点を立ち上げる判断に至りました。

ベトナム国内でのIT市場の動向についてお伺いしたいです!

ベトナムは国策としてITエンジニアを多く育成しているのに加え、日本語学習者も少なくないため、日本企業にとっては魅力的な市場であると思います。

また、昨今Covid-19が世界中で感染が拡がっていた中で、ベトナムは感染拡大を優秀に抑えられていた国の1つでしたので、世界各国からCovid-19の影響によるリスクが低いと認識されたように感じています。それにより、海外からベトナム人ITエンジニアが注目され、さらなるIT市場の変動が見られていると感じています。

キャリア観や言語の違いでの苦労から得た学びと、組織文化作りの工夫

プロジェクトマネジメント

マネジメントで海外だからこそ苦労した、という部分はありますか?

苦労する点を挙げるとすれば、キャリア観の違いと言語です。

—– キャリア観について
ベトナム市場は前述のCovid-19による影響の小ささも相まってITエンジニアの転職市場は激化し、急激に高騰しています。ITエンジニアにとっては、転職すれば良い条件と新たな環境が期待できるため、どの企業も人材の維持には苦労されていると思います。当社も決して例外ではなく、様々なアプローチから人材維持に努めています。

—– 言語について
当初は現地の言葉でスタッフにアプローチすることは絶対的に必要だと思い、ベトナム語の教師をつけていました。現地のスタートアップメンバーに対するベトナム語スピーチを計画し、準備を重ねて暗記し、いざ本番・・。スタッフは絵に書いたようなポカン顔でした(汗)。ベトナム語は発音のハードルがとても高く、発音が違うだけで全く違う意味の言葉になるので、全く意味が分からない言葉になっていたわけです。私からすると、まるで誰も受け取ってくれない結婚式のブーケトスのような感じで、まさに大すべりした瞬間でした(笑)。相当な労力をかけてこれでは、あまりに費用対効果が悪いためベトナム語は断念したんです。

私は日本語を主に使用しています。私はスタッフに自分の熱意や思いを伝えるための言葉をとても大事にしているので、それを正確に日本語で理解してベトナム語に変換できる秘書を介して意思疎通をとっています。

ベトナムで「人材の流動性が高い」というのは、ITエンジニアだけなのかそれともどの職でも当てはまるのかどちらなんでしょうか?

ITエンジニアは特にその傾向が強いです。なぜかというと、ITエンジニア職はベトナムでは花形の職業で需要も高く、転職の選択肢がたくさんあります。

また、ベトナムの方はITエンジニア職に限らず、「その会社で自分がどれだけ成長できるのか」をすごく重要視する上昇志向の方が多いので、新しい環境での成長を求めて転職する方も非常に多くいるように感じます。

プロジェクトマネジメント

御社で人材の転職を引き止めるために何かされている対策はありますか?

一つの対策で解決するほど簡単な問題ではないと思いますので、やれることは全てやっていこうというスタンスです。当社グループでは各グローバル拠点に優秀なITエンジニアが多くいますので、国境を越えて彼らと一緒に開発や意見交換をして相互に高め合える環境であることはITエンジニアにとっての大きな魅力の1つだと思います。

他拠点の方々も日本語でやりとりしているんですか?

それはプロジェクトによります。英語をスタンダードとして通訳なしで進行するプロジェクトもあれば、日本語の通訳を介して日本語で進行するプロジェクトもあります。

ベトナムとの文化の違いで苦労されたことはありますか?

文化の違いについては、ベトナムに限らず他拠点も含めてあまり苦労はないと感じます。というのも当社グループでは多数の国の外国籍の方が働いており、その多様性を受け入れ、理解し、尊重していくポリシーがあります。それは、多様性を理解して得たノウハウをサービスに反映していくことでより多くのユーザー様に受け入れていただけるサービスに繋げていくからです。そのため、文化の違いがあることを前提にどの拠点もコミュニケーションをとりますので、拠点間でも連携が取りやすいと感じます。

また、私自身も帰国子女でしたので、海外との文化の違いに元々抵抗がないというのもあるかもしれません。

スタッフとの信頼関係を構築する上で大切な5つのこと

プロジェクトマネジメント

外国人のエンジニアマネジメントで大切にしているマインドセットはありますか?

外国人ITエンジニアのマネジメントに限らず、スタッフと信頼を構築することがやはり一番重要だと思います。信頼関係がなくてはスタッフが本音で語ってくれることもなく、潜在的に起きている組織課題にも気付けなければ、事業にとっての大きなリスクに繋がりかねません。そのため、リスクマネジメントの観点においてもスタッフからの信頼を得て情報を得ることが必要なのかなと考えています。

その信頼関係を構築する上で、
・スタッフに対して誠実であること
・そのために私自身が率先してオープンになること
・私についてきてくれるスタッフを信頼・尊重し、日頃から感謝をすること
・自分から距離を作らないこと
・背中を見せて、お手本のような存在になること
を特に心がけています。

非常に勉強になります!具体的にどういったことをされていますか?

組織課題があり、社内全体で議論の場を設けたこともありました。全スタッフの質問に私がその場で回答していくのですが、中には会社に対する不満を上げる方もいます。私や会社に課題が見えれば解消に向けてToDo化し、スタッフ側の認識を変えなければいけない場合は論理的に理解できるようにコーチングをしています。それが私という人間性や私の思考を全員に理解してもらうには一番早い方法だと思っています。そのため、回答しづらい質問に対し、うまくやり過ごしたり、ごまかす回答は一切しませんね。

また、スタッフに背中を見せるために、仕事においては誰よりもアクションを取るようにしています。社内のスポーツイベントでは本気で勝ちにこだわり、飲み会では誰よりも酒を飲むことを意識しています(笑)。元々私が負けず嫌いということもありますが、それが功を奏して仕事でも仕事以外でも本気でスタッフと向き合い、感情を共有していくことで信頼構築に繋がるよう心がけています。「距離が近くて、尊敬できる存在」だと感じてもらえれば、マネジメントに関してもよりスムーズにいくと思いますね。

LINEでは、世界中の人と人、人と情報・サービスとの距離を縮めるという意味が込められた”​CLOSING THE DISTANCE”というミッションを掲げていますが、​スタッフともCLOSING THE DISTANCEであることが正に重要だと考えています。

最後に

海外

今後の展望について教えてください!

LINEグループは、Life on LINEというビジョンを掲げておりまして、人々の生活がLINEの中で全て完結する世界の実現を目指しています。これを実現するための開発ニーズは今後も非常に大きいです。私たちは数ある開発拠点の一つですが、今後も規模は拡大し、コアの開発拠点になることを目指しています。

そのためには技術力だけでなく、スタッフ一人一人がオーナーシップを持ってよりユーザー様に満足していただくためにはどうしたら良いか、それを開発でどう実現するか、といったサービスの成長にまでコミットできる開発拠点を目指しています。

海外へ活躍の場を広げていきたい企業・ITエンジニアにメッセージをお願いします!

—– 企業の方々へ
もし海外拠点を立ち上げる意向がありましたら、そこに立てる人材が非常に重要だと感じています。何が何でもやりきる覚悟を持った人を選ぶことが大切です。日本の常識とは全く違う文化や国の背景、法律などがあるため、必ず苦労されると思います。その苦労に対して、それが経験や学びだと受け止めて楽しめる方が向いていると思いますね。ただ、1人では受け止められないことも結構あるので、そこは本社側が理解して積極的にサポートされることをお勧めします。

—– ITエンジニアの方々へ
海外で仕事をすること自体が非常に良い経験になると思うので、一つのキャリアパスとして考えていただくと良いのではないかと思います。私は前職含めてベトナムで8年従事していますが、海外での経験によって、視野は広がり感性も磨かれました。また、他国への理解を深めることで、より一層母国である日本に誇りを持てると思います。海外で活躍する人材が増えていくことで、日本企業のグローバル化や海外人材の活用ノウハウの蓄積など、企業の可能性も広がっていくと思います。


————————————————————————————————————————

ACTIONでは教育型オフショア開発プログラム(フルリモート)を提供しています。

海外で活躍しているCTOがメンターシップしながらラボ型のオフショア開発をします。

自社のエンジニアを海外でも活躍できるように育てます。

————————————————————————————————————————

海外CTOコミュニティ・教育型オフショア開発に興味がある方 こちら

関連記事

  1. 8ヵ国に移住し選んだのは、成長を続けるウクライナIT市場【Ago-ra IT Consulting 柴田裕史氏】

  2. 15年間で5カ国のオフショア開発を経験し、感じた違いと変化【株式会社ビッグツリーテクノロジー&コンサルティング 小林規威氏】

  3. 働いて良かったと思える組織をいかに作るか【Vitalify Asia 加藤 彰則 氏】

  4. 海外でのマネジメントは判断力を倍磨く 【Techbase Vietnam 白川 健一 氏】

  5. 海外エンジニアとの開発はいかに意図を汲み取り、成果物に落とし込むか【ALJ Myanmar Company Limited 濵口健次氏】

  6. ベトナムオフショア開発をまとめてみた!単価・魅力・課題などを紹介