田中 真介 氏 | Drose Consulting Indonesia
2000年、成城大学経済学部卒業後、米国コロラド州デンバーに語学留学。2001年、LPL日本証券株式会社に入社。同社米国西海岸本店のサンディエゴ支社に出向し、マーケティング業務に従事。2006年、株式会社ワークスアプリケーションズ、大和証券SMBC株式会社での勤務を経た後、フリーランスのコンサルタントとして独立。タワーレコード株式会社、株式会社LIXIL、ハートフォード生命保険など大手会社のプロジェクト案件に参画し、デリバリーを担当。2012年、約6年に渡るフリーランスとしての活動を終え、日系コンサルティングファームの株式会社クニエに入社。2014年、同社のインドネシア拠点立ち上げの責任者として、NTTデータインドネシアに出向。現地のビジネス開発、プロジェクト管理、アライアンス推進に従事し、同社のインドネシアビジネスの基盤を確立。2017年、インドネシアのジャカルタにて現会社となるPT DROSE KONSULTASI INDONESIAを設立し、代表取締役に就任。現在は約40名の現地スタッフと共に、ITソリューション、コンサルティングサービスを現地大手日系企業に提供。
現在のお仕事について教えてください!
弊社はインドネシアの現地に進出している日系企業のITサポートを行っておりまして、開発案件ではモバイルアプリケーションの開発やintra-martを用いたワークフローの開発、その他、大手日系メーカーのRPA開発もオフショアで受けています。弊社には30人の開発スタッフがおり、私が開発ディレクターとして作業進捗、品質のマネジメントを実施している状況です。
転職を機にエンジニアの道へ、現在はインドネシアでITディレクターに
エンジニアになろうと思ったキッカケを教えてください!
大学卒業後に入社した金融機関から、ワークスアプリケーションズに転職したことがきっかけでした。当時はITブームで、機会があればIT分野の仕事をしたいと思っていたので、ワークスアプリケーションズが募集していた未経験者対象のエンジニア育成制度に応募しまして、エンジニアになりました。
海外で仕事をしていて苦労された経験はありますか?
考えてみれば、苦労だらけでした(笑)
そのうちの一つは、一般常識が日本と違う部分があることですね。インドネシア特有かもしれませんが、彼らは分からなくても何か答えようとしてしまいます。例えば、お客様を訪問する時にGoogleマップに登録されている住所が違うため、その辺を歩いている人にオフィスまでの道を聞くことがあります。その時、ここまっすぐ行けば着くと教えてくれたのですが、行ってみると全然違う場所だったなんてことがありました。分からないことを分からないと言えない人が多いのは、苦労した文化の違いの一つですね。
実際にエンジニアをマネジメントをする上でも苦労しそうですね。。。
そうなんです。他にも、終わる終わると言っているのに終わらないというのもあります。あるエンジニアに仕事を渡した時、今週金曜までに終わると言っていたのに終わらず、次の週の半ばになっても終わらず、結局次の金曜にも終わらなかったということがありました。この原因の一つになっているのが、インドネシアの言語なんです。日本語では言い訳と理由、英語ではexcuseとreasonで意味が異なりますが、インドネシアではこの二単語がalasanという一つの単語でしか翻訳ができないんです。概念が同じなので、言い訳がましくなってしまうようです。
その常識の違いに対して、どのような工夫をされていますか?
彼ら彼女らの言っていることを鵜呑みにせず、実際の成果物まで確認することです。結果的にマイクロマネジメントになりますけど、そこまで踏み込まないとなかなかマネジメントはできないです。
報連相のレベルから調整が必要な現場
これまでどうやってマネジメントを学んできましたか?
2014年にNTTデータグループのクニエからNTTデータインドネシアに出向しまして、その時から海外でのエンジニアマネジメントをしています。先ほども申し上げたように、日本のやり方では全くうまくいかないので、メンバーと密にコミュニケーションをとり、深入りしていく中で自然と学んでいきました。
部下の方々にはマネジメントをどう教えていますか?
毎週、作業を止めて全社員向けの研修を設けていまして、マネジメントに限らず基本的なビジネスマナーから教えていますね。報連相をしっかりしなさいというレベルから教えていて、開発のチームリーダーにはフレームワークや文書のフォーマットを提供して、方法論を徹底的に教えています。
研修は御社の社員の方々が講師となって行っているのですか?
研修は完全に内部で。アクセンチュア出身の日本人の同僚と私二人で運営をしています。
海外のエンジニアとコミュニケーションをとる際に大切なことは何でしょうか?
インドネシアで言うと、怒ってはいけないことです。怒りの感情を表に出すことはイスラム教的にも好ましくないので、そこは注意をしています。
どのように注意するべきですか?
こういう風にやったら良いと、理解してもらえるまで継続して言うことですかね。そして、弊社は報酬でも報いるようにしています。月次で評価して、優秀な人では最大2万円ぐらい変わってきます。最低月給4万円ぐらいの世界なので、頑張ればそれだけ給料が上がるのは大きいですよね。
発展著しいインドネシア、でもIT市場は課題だらけ?
開発拠点としてのインドネシアの現状を教えてください!
国自体の発展は著しく、マーケットとしては魅力的です。しかしITは他国より一週遅れぐらいの状況でしてIT人材のレベルはそこまで高くないので、外資企業がインドネシアに進出するのであれば腰を据えた方が良いです。
インドネシアは資源が豊富でITに頼って成長をしているわけではないので、ITエンジニアの需要はありますがレベルは高くないです。ASEANの中でも遅れていると思います。
インドネシアの採用市場の現状を教えてください!
インドネシアで優秀な人は高給料を求めてシンガポールに行きます。なのでインドネシアにいる時点でレベルの高い人材は少なく、良い人材が国外に出て行ってしまうことが課題だと思っています。
その中で、弊社は新卒・第二新卒の若い人を最初から育てることを重視しています。例えば10年間開発をしていても元々のレベルが低ければ、その10年の経験が弊社の仕事の邪魔になることもあるので、経験はあまり重視していません。
インドネシアのIT企業で働くことの魅力について、教えてください!
正直言ってITの知識を学びたいのであれば、インドネシアはあまり向いていないと思います。先ほども申し上げたようにITは一回り遅れていますから。
しかし、日本だと制約があってできないことでも、インドネシアではチャレンジできることはたくさんあります。それにIT含め色んな産業でまだまだ成長の余地があるので、ある程度の経験を積んでから来ると魅力的かと思います。
言語も文化も違うインドネシアでの生活は大変?
インドネシアでの生活は苦労されましたか?
普通に暮らしている分には問題ないですよ、治安も悪いとは思いません。ただ鉄道が発展していないので、多くの国民が自動車を多用します。渋滞も多いですし、ジャカルタはあまり歩いて散策するような場所がないので、面白みは欠けます。色んな日系企業の方々と話しますけど、皆さんインドネシアでの”仕事”が面白いと言っていますね。
言語でも苦労されましたか?
元々出向で来た時は、NTTデータだったので英語でコミュニケーションをとっていました。日本よりは英語が浸透していると思います。ただ仕事以外の外食や買い物は英語が通じないので、インドネシア語でやりとりしています。もう7年こちらにいるので、インドネシア語は分かるようになりました。
今後の展望について教えてください!
現状はインドネシア以外の国に進出することは考えておらず、まずはインドネシアで存在感を示すことを目標にしています。極論を言うと、インドネシアに来ている全ての日本企業を支援できるようにしていきたいです。
最後に
海外に活躍の場を広げたい企業・エンジニアに一言お願いします!
私はもっとインドネシアに日本を知ってもらいたいと思っています。日本のイメージは、車や家電などのハード面では存在感がありますが、ソフト面でもアニメやドラマはありますがITでいうとそこまで大きくないです。サービスやコンテンツをインドネシアで提供していきたいと思っています。
人件費も安価で日本に対しても良い印象を持っているので、マーケットとしても製造拠点としても魅力的です。ただ製造拠点としては長期的に見ないといけないとは思います。
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