多民族国家インドネシアでは、民族によってモチベーションの源泉が違う【BAHTERA HISISTEM INDONESIA 山本 啓二 氏】

山本 啓二 氏 | BAHTERA HISISTEM INDONESIA
東京の銀行系システム開発会社を経て、ジャカルタにてシステム開発・導入を16年、バリ島で輸出事業7年の経験あり。2018年に西ブカシに設立したPT.バテラ社にて、製造業向けに生産管理システム・MES・IoTの開発導入を行っている。

はじめに、現在のお仕事について教えてください!

弊社のターゲットとしましてはインドネシア在住の製造業者になります。今のところお客様の95%は日系企業です。日系製造業者の業務改善のため、ITを使った生産管理、原価計算の自動化などの製造業システムの導入支援をさせていただいております。今やっているプロジェクトはアルミニウム工場の在庫管理・外注管理のシステム化を行っております。また保税区(輸出に特化した区域)はインドネシア税関に対して報告が必要なのでそのサポートのためにIT INVENTORYの構築をしています。今は材料入荷後の製造工程の払い出しに際してQRコードをスキャンして製造実績をあげるシステム化をちょうど始めている状況です。
もう一つは完全個別受注工場です。自動車メーカーの製造ラインを作っている工場の生産実績と原価計上のシステム化、最後にその予算を計上し、実績と比較して勝ち負けを決めます。それにより実際経営者にとって儲けはあるのかを明らかにさせる、そういうシステムを作っております。

大学時代は金融の勉強、そこからIT業界へ

IT

エンジニアになろうと思ったキッカケを教えてください!

10年20年で見ると、ITがくると思ったからですね。学生時代ずっとプログラミングをやっていたとかではなく、大学では文系で金融の勉強をしていて周りは金融、証券マンになっていたころ、私は一人ITに興味があったからその道に進んだという感じです。

日本人とインドネシア人の比率はどれくらいですか?

日本人は私1人だけです。最初のプロジェクトはインドネシア人1人と二つ目のプロジェクトは3人と協業しています。

インドネシア人エンジニアのマネジメントで苦労されたことはありますか?

基本的に感情的になって怒るのはよくなくて、それを人前でやるのは更によくないんです。人前で恥をかかされることは彼らにとって屈辱的なことでそれが原因で逆恨みというのは事例があります。なので何かいうときは一対一で言うようにしています。また、インドネシア人は多民族国家だけど、基本的に調和を求めるんですね。それに彼らにとっては仕事よりも家族が最優先なので、仕事を優先して欲しい時は「頼むから」って本当に拝み倒さないといけないです。(笑)でもあんまり下手に出ると舐めれるのでそこのバランスが非常に難しいです。

インドネシア語を話せるようになれば英語も話せるようになる??世界で一番簡単と言われる言語

インドネシア

言語面で苦労されたことはなんですか?

まずインドネシア人は英語大好きなんですよ。英語のまま映画見たり、本とかも英語のまま読まざるをえなかったりするので自然と小さい頃から英語に親しんでいるんですね。私がインドネシア語で話していても英語で話しかけてくるんです。でも会議とかだと、最初は英語で進めていても細かい話になると最終的には必ずインドネシア語になるんです。(笑)それでも彼らの英語力は一般的な日本人と英語力よりも高いですし、エンジニアとして仕事をしようとしている人は英語をある程度勉強しているので英語でコミュニケーションとるのは問題ないです。また、お金を多く儲けるために英語を勉強するモチベーションが非常に強いですね。

2カ国語話す際の苦労はありますか?

インドネシア語ははっきり言って世界で一番簡単と言われるほど簡単なんです。綴りをそのまま読めば良いのでね。だから逆にインドネシア語をしゃべれるようになってから、英語も話せるようになったという人は多くいます。

山本様も英語とインドネシア語は現地に行ってから学ばれましたか?

はい、そうですね。

オンライン業務中に部下が失踪!?インドネシア人との協働では各民族の特徴まで理解するべき!

オフショア

宗教について工夫されていることをお伺いしたいです!

オフィス内でもほぼイスラム教徒ということもあり宗教は考えざるをえないです。ですから当然お祈りの時間があり、それはかなり尊重しています。特にイスラム教徒にとってはモスクで礼拝があるため金曜の夕方で1週間終わりなので、金曜はなるべく遠出などはさせず、オフィスにいてもらい、お祈りにいけるようにしています。また、断食月はエンジニアのパフォーマンスが3割くらい落ちるのでそれを見越した上で仕事を振っていますね。

他に失敗談はありますか?

中華系インドネシア人はすごく優秀で(他民族と比べて)中華系の方が給料は高いし、重要な仕事を任せられるんですね。ただ1998年以前のスハルト大統領の時は中華系迫害があったので、最近でも中華系に対するやっかみが残っています。そうでなくても中華系同士で火花が散りますので、アサインの仕方は工夫しています。

他にも特に今コロナ禍なので、自宅の仕事は本当に大変で、みんな自由なので失踪するし連絡つかなくなるしでプロジェクトがどんどん遅れていくんですよ。現にさっき言った二つ目のプロジェクトは7月に終わっていてもおかしくないんですが、結局9月くらいまでかかったんですね。その理由が、アサインされていた西ジャワの男性エンジニアが「お母さんを大事にする」という文化で育っているので母親が病気になったらジャカルタから飛んで帰ったんです。逆に成人になったら、家族から独立する民族ミナン人もいるんですがね。こういう風に民族によってモチベーションの源泉がすごく違いますね。一概には言えないけど、民族の特徴があるのでその辺りが分かっていくと一緒に働きやすくなります。

インドネシアでの仕事は自由でとても魅力的!

マネジメント

インドネシアの魅力を教えてください!

インドネシアに駐在に来られた方が日本に戻るとインドネシアに戻りたくなるんですよね。なぜかって言うとやっぱり人柄が良いからなんです。何か困っても誰かが助けてくれたり、世話好きな国民性で、昭和の日本の雰囲気が感じられるというのが一番多くの魅力かなと思いますね。金銭問題であったりとか、逆に人とのつながりが裏目に出ることもあるんですが、総合的に見た時にインドネシア人と話すのが楽しかったなと日本に帰って気付く人が非常に多い気がします。あとは年中暖かいところですかね。インドネシアなら年中半袖で済みます。

仕事面での魅力はなんですか?

日本で優秀な人たちと張り合ってもやっぱり勝てないなと思ったんですが、インドネシアなら差別化できるし、最初に入った会社では好きなこと自由に好きなだけやれたのですごく楽しかったですね。同じようにインドネシアが楽しかったと言っている日本人はとても多いです。

最後に

東南アジアオフショア

今後の展望について教えてください!

今はお客様の95%が日系企業なんですが、インドネシアに来たからには、ローカル企業にプロダクトを広げていきたいです。今も営業を進めていますが、やはり絶対的にローカル企業の比率が低いんです。

インドネシアは製造業が将来的に(国を)引っ張ると私は思っているので、電気自動車の製造拠点として発展していくという未来を思い描いています。その市場に対してそこに入り込めるのがローカル企業と中華系企業なんですが、中華系企業に入り込むのは厳しいのでだったらインドネシアのローカル企業に展開していこうと思っています。

そのためのプロモーションとして、インドネシア語のセミナーをしたりしています。やっぱりローカル企業にアプローチしていかないと日系市場は縮小していくのは目に見えていますのでね。あとは弊社はずっとB2BでやってきましたがB2C向けのシステムの構築もやりたいなと思っています。

海外に活躍の場を広げたい企業・エンジニアに一言お願いします!

私は23年前にインドネシアに来て、3年ローカル企業で働いていたんですが、すぐに独立し、バリ島で家具や雑貨の輸出をやってそこそこ儲かったんです。なぜ儲かったかと言うとインターネットがまだそんなに普及していなかったのでその波に乗っかって儲かったんですが、ネットが当たり前になってきた時にはやはり(経営が)難しくなってきてしまったんです。時代ってそういうもので、偏りがなくなってしまうんですね。

昔は日本で成功していることをインドネシアに持ってくれば成功するという感覚でしたが、今はそれがないんです。特にインドネシアは勢いがあるので、そういう勝てる分野を探すのが非常に難しくなっています。参入するのは簡単でも継続するのがすごく大変です。

あとはB2Bはなかなかインドネシアでは難しいです。やるならばB2Cですね。平均年齢28歳ぐらいで若い人が多いので彼らをターゲットにしたB2Cのサービスを、日本のエンジニアのレベルは高いので彼らが本気を出してやると絶対成功すると思います。でもまだそういう人たちで本気出してやっている人をあまり見たことがないので、是非やってみて欲しいですね。とにかく人口のパイが大きく若い人がいっぱいいるのでその市場を攻略するのはロマンだと思います。だからB2Cを狙って優秀な日本人がインドネシアで起業してほしいですね。


————————————————————————————————————————

ACTIONでは教育型オフショア開発プログラム(フルリモート)を提供しています。

海外で活躍しているCTOがメンターシップしながらラボ型のオフショア開発をします。

自社のエンジニアを海外でも活躍できるように育てます。

————————————————————————————————————————

海外CTOコミュニティ・教育型オフショア開発に興味がある方 こちら

関連記事

  1. オフショア開発では「常識を捨てる」~エンジニアのプロジェクトマネジメント~【VELTRA Malaysia Sdn Bhd 松尾直幸氏】

  2. (後編)IT企業CTOによる豪華トークセッション vol.1【外国人マネジメント編】【VELTRA Malaysia Sdn Bhd Director 松尾直幸氏、MOON-X株式会社CTO 塩谷将史氏】

  3. 保護中: (後編)環境に恵まれなかった人たちを育成し、日本の社会問題改善への架け橋に【SeedTech, Inc. 平井真哉 氏・栢森威瑠 氏】

  4. (前編)IT企業CTOによる豪華トークセッション vol.1【外国人マネジメント編】【MOON-X株式会社CTO 塩谷将史氏、VELTRA Malaysia Sdn Bhd Director 松尾直幸氏】

  5. ヨーロッパで感じた合理的すぎる文化 ~エンジニアのプロジェクトマネジメント~【QMENTA 佐藤隆之氏】

  6. (前編)日本でソフトウェア開発をするアメリカのテクノロジー・カンパニー。異色なオフショア開発を通して感じる海外から見た日本とは【Launchable, Inc 川口 耕介 氏】